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2018.3.26更新

第一章 医療業界のコスト削減事例

第8回:償還材料② ~整形外科領域の削減~

今回は、償還材料のコスト削減のうち、整形外科領域の進め方とポイントを「分析フェーズ」、「戦略策定フェーズ」、「実行フェーズ」に分けて紹介します。

償還材料についてはこちらの記事を参照ください。

第7回:償還材料① ~循環器領域の削減~

 

 

分析フェーズ

 整形外科領域は、循環器と並んで年間購入金額の大きい領域の一つです。整形外科領域でもパレート分析を実施しますが、注意すべきポイントが3つあります。

①製品の種類が多い

 人工股関節に使うコンポーネントや大腿骨頸部固定用プレートといった比較的大きい製品から、ネジ・釘といった小さい部品、骨セメントなど、製品の種類が非常に多い領域です。分析が煩雑にならないよう、部位別(下記②参照)×メーカー別にまとめましょう。

 

②必ずセットで使用するものがある

 例えば、人工膝関節置換術では「大腿骨コンポーネント(償還価格250,000円前後)」、「インサート(償還価格50,000円前後)」、「脛骨コンポーネント(償還価格150,000円前後)」をセットで使います。各セットの製品は通常同じメーカーのものを使用するため、一部だけ他社製品に切り替えることはできません。手術部位や術式によってセット化されているため、その視点で分析する必要があります。

※償還価格は2016年制度

 

③その病院オリジナル製品がある

 有名な整形外科医がいる病院では、その先生が大学で開発したオリジナル製品を使っている場合があります。いわば特注品ですので市場価格も存在せず、コスト削減の難易度が上がるため、その存在を事前に確認しておく必要があります。

 

 

戦略策定フェーズ・実行フェーズ

 分析結果をもとに、病院としてのコスト削減戦略を決めます。具体的には、「何を」「誰から」「どのように(いくらで)」購入するかについて、整形外科の医師との調整を通して院内のベクトルを合わせるのがこのフェーズです。但し、整形外科領域は他の領域と比較してコスト削減が難しいと言われます。理由は3つあります。

 

①医師のこだわりが強い

 整形外科医は大工のような職人気質の先生が多く、使い慣れた材料を変えることに難色を示したり、医局の方針でメーカー変更自体が不可というケースもあります。

 

②オリジナル製品の存在

 分析フェーズの③で説明した通り、その病院オリジナル製品を使用している場合は代替品が存在しないことになります。

 

③ほぼ寡占市場

 例えば、人工膝関節のインプラントメーカーシェアは上位3社で約8割を占め、売り手であるメーカーのパワーが強い市場です。

 

 

 このようにコスト削減難易度が高い領域ではありますが、ポテンシャルが高い場合はコスト削減に取り組むべきです。院内の整形外科医師とのミーティングでは、下記の視点で医師にコスト削減協力を打診し、実行してみてください。

 

①同じ部位の手術で複数メーカーの製品を使用している場合は、集約することでスケールメリットを出す

 メーカーを集約するだけでなく、今後の手術件数増加の見込みも立てば、購入数量増加が期待できるため、現在より購買力を高めることができます。

 

②既存製品より、新規購入製品の交渉を優先する

 異動などで新しい医師が赴任してきた際、その先生の好みの材料を言われるがまま購入している病院は多くあります。まずは、現在病院で使用している材料を使ってもらえないか交渉しましょう。難しい場合は、購入予定の製品の市場価格を必ず調査し、出来るだけ最低価格での購入をメーカーと交渉してください。一度決まった購入単価を下げるのは難しいですが、最初であれば成功する可能性は上がります。

 

③診療報酬改定で償還価格が下がったタイミングで交渉する

 償還価格が変わる2年に1度の診療報酬改定は、購入単価引き下げのチャンスになります。医療費抑制のため、近年の改定では常に償還価格が引き下げられています。その引き下げ率に合わせて購入単価も下げる(例:償還価格が5%引き下げられれば、購入単価も5%下げてもらう)ようメーカーに交渉しましょう。

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