ノウハウ集

Topics

2018.4.9更新

第一章 医療業界のコスト削減事例

第10回:償還材料④ ~透析領域の削減~

日本には慢性透析療法(以下、透析)を受ける患者が約33万人いると言われています(※1)。患者一人あたりの費用は月に約40万円(※2)ですので、33万人×40万円×12か月≒1.58兆円と非常に大きい市場規模です。これは年間1.58兆円の医療費が透析に使われているということでもあり、国は重症化予防や新規透析患者の抑制を推進しています。

さて、透析に使用する医療材料はダイアライザー、血液回路、監視装置、透析用針、ヘパリン投与用シリンジ等がありますが、そのうち償還価格が付与されており、かつ病院の購入金額で多くを占めるのがダイアライザーです。また、急性期治療で使用される血液浄化用浄化器も高価でコストマネジメントが重要な項目です。今回はこの2項目について紹介します。

 

ダイアライザー

ダイアライザーは数ある償還材料のなかでも、近年償還価格の下落が特に大きい項目です。2018年度診療報酬改定でも、種類によっては1割近く償還価格が引き下げられました。それだけ市場価格も下落傾向ということであり、このトレンドに乗り遅れないよう定期的な購入価格見直しが必要です。

ダイアライザーのコスト削減を行うにあたり、注意すべきポイントは3つです。

①患者のQOLに直結する領域

各メーカーが様々な製品を販売していますが、「安価なダイアライザーを使った結果、患者の状態が悪くなった」という医師の意見をしばしば聞きます。透析は基本的に一生続けなければならない治療ですので、透析患者のQOLはその病院の集患力にも影響します。「安物買いの銭失い」にならないよう、製品の検討は慎重に行う必要があります。

②MEを巻き込む

製品の質を詳細に検討する場合、透析担当の臨床工学技士(ME)をコスト削減に巻き込みましょう。経験年数の長いMEは、医師以上に各メーカー製品の特性や研究結果、そして価格交渉に対する柔軟さを熟知しているものです。

③主要3社の製品を軸に検討

ダイアライザーの市場シェアトップ3メーカーは、「旭化成メディカル」、「東レメディカル」、「ニプロ」です。償還価格からの割引率も相対的に高くなっています。①で記載したように、製品によって質の差はあるものの、医師のこだわりは整形外科ほど強くないことがほとんどです。この3社を軸に購入製品の標準化を進めていくと良いでしょう。

 

 

血液浄化用浄化器

救命救急センターやICUで、緊急で血液を浄化させる必要がある時に使用される材料です。敗血症性ショックで使用されるエンドトキシン除去用(償還価格356,000円)と、肝性昏睡用又は薬物中毒用(償還価格131,000円)(※3)の2種類があります。販売しているメーカーが少なく、前者のエンドトキシン除去用は現在、東レメディカルの1製品のみです。そのため、まずは最初にメーカーと取引を始める際にしっかり市場価格を調査したうえで購入することが重要です。または、病院の成長等に伴い使用量増が見込める場合には、診療報酬改定時や当該メーカーの他製品交渉時に併せて、ボリュームディスカウントを検討すると良いでしょう。

※1:(出典)日本透析医学会
※2:(出典)一般社団法人全国腎臓病協議会
※3:2018年度

関連記事

<戻る

ページトップへ