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2018.4.30更新

第一章 医療業界のコスト削減事例

第13回:ディーラーの果たす役割

ディーラーは、複数のメーカーから製品を仕入れ、病院にその製品を納入することを主な業務とする代理店で、シンプルに「卸(おろし)」と呼ばれることもあります。扱う製品によって大きく医薬品ディーラーと医療機器(医療材料含む)ディーラーの2つに区分され、日本特有の商形態と言われています。医療業界全体で医薬品は約2万品目、医療機器は60万品目以上あるとされる製品を、それぞれの病院が把握・選択して購入することは不可能で、メーカーも一つ一つの病院にきめ細かい対応ができるマンパワーがないため、病院とメーカーをつなぐパイプ役がディーラーの主な価値機能です。

 

医薬品ディーラー

メディパルホールディングス、アルフレッサホールディングス、スズケン、東邦ホールディングスが「4大卸」と呼ばれています。医薬品の販売代理店だけでなく、SPD(Supply Processing Distribution)と呼ばれる、物品の在庫管理、加工、各部門への配置などを一元管理する院内システム提供も行っています。

 

医療機器ディーラー

大手企業がシェアを握る医薬品と異なり、地場の中小ディーラーが、近隣の病院を対象に比較的小さいマーケットで取引していることが特徴です。医療機器領域は品目数が多く製品のライフサイクルも短いため、ディーラーの果たす役割は物流だけでなく、下記のように多岐に渡ります。

  • 治療や手術時に使用する製品が急きょ不足した場合の迅速な納品
  • 医療機器が故障した時の一次対応
  • 各医療機器の使用方法を病院スタッフにレクチャー(メーカーの営業担当者も対応するが、自社製品しか説明できないため、ディーラーの方が重宝される)
  • 手術のサポート(実際に手術室に入り、医療機器の組み立て方説明、次の工程で使う機器の指示、片付けの手伝い等を行う)
  • 医師、看護師、MEなど医療機器使用者のニーズを聞き、メーカーに伝える

 

医療機器ディーラーは地域密着で現場に深く入り込んでいるため、ディーラーがいないと手術室が回らない、という病院も結構あります。単なる物流機能のみでは差別化が難しくなっている昨今、医療機器ディーラーが提供する価値は現場オペレーション支援に変わってきています。

 

但し、ディーラーの基本的なビジネスモデルは、あくまで「メーカーからの各製品の納入価にディーラーのコストと利益を乗せ、病院に販売する」です。その契約形態は様々で、各製品の価格に上乗せする場合もあれば、別途固定費として毎月一定額を病院に請求する場合もありますので、購買関係者は一度、ディーラーとの契約内容を確認すると良いでしょう。

 

極論を言えば、ディーラー機能を全て病院が持つことができれば、ディーラーにかかるコストはゼロになります。実際、規模の大きい医療法人では傘下に株式会社を作り、グループ内病院のディーラー機能を一括管理していることもあります。

そこまでいかなくても、ディーラーに委託すべき機能と自院で担える機能をしっかり整理することで、ディーラーにかかるコストの削減に繋がる可能性は多いにあります。例えば、上記の「治療や手術時に使用する製品が急きょ不足した場合の迅速な納品」や「医療機器が故障した時の一次対応」を全て自院で実施しようとすると、専門スタッフを常駐させなければならず、費用対効果は薄いでしょう。一方、手術室のサポートはどうでしょうか。品目数が多いとはいえ、自病院で使うものは大方決まっているため、スタッフの研修をしっかり行えば、ディーラーサポートは不要にできます。

病院はこのような視点や意識がしばしば抜けています。委託内容の仕様は定期的に・詳細に見直し、過剰な部分がないか、自院で機能を持った方が安価ではないか、検討しましょう。

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