ノウハウ集

Topics

2018.8.27更新

第一章 医療業界のコスト削減事例

第30回:薬剤部の業務改善②~移譲と集約で生産性向上~

前回に引き続き、薬剤部の業務改善事例を紹介します。今回は「既存業務の効率化」による薬剤師の生産性向上を考えます。

 

病院薬剤部の5大業務

下図はある病院の薬剤部(院外処方、病棟薬剤業務実施加算届出なし)の業務量調査結果です。「調剤」「注射薬業務」「病棟業務」「在庫管理業務」「事務作業」の5業務に、マンパワー全体の約80%が投入されています。病院によって各業務の割合は若干異なりますが、多くの場合同じような傾向になるのではないでしょうか。業務改善を進めるうえで、まずはこの5大業務に焦点を当てます。

 

「移譲」と「集約」を追求する

薬剤部の業務改善では、業務の「移譲」と「集約」の考え方が特に重要です。薬剤部が担当する業務のなかには「薬剤師しかできない業務(=専門業務)」が存在するため、それ以外の業務を他に移譲し、空いた時間で薬剤管理指導や病棟業務など収益を生み出す業務を増やすことが改善の方向性になります。具体的にA病院の事例で進め方を考えてみましょう。

 

専門業務と一般業務の切り分け

業務内容を精査し、「現在は薬剤師が行っているが、薬剤師以外でもできる業務(=一般業務)」を洗い出します。例えば、調剤業務のうち処方箋調剤や鑑査は薬剤師しかできませんが、分包の切りそろえや自動錠剤分包機のコンベアセット、カートの配送等は薬剤師以外でも可能です。在庫管理業務は、麻薬以外は一般的に薬剤師以外の職種で実施可能です。このように専門業務と一般業務を切り分けた結果、A病院では5大業務の2割~3割が一般業務として移譲可能と判断されました。

 

移譲と集約

A病院では補助スタッフを補充し、現在は一般業務を薬剤師と連携して行えるよう研修を実施しています。また、併せて「業務場所の集約」も実施しました。病棟常駐の薬剤師がいないため、一人の薬剤師が一日のなかで病棟と薬局を何度も行ったり来たりすると非効率になります。病棟別・薬剤師別に「病棟業務実施時間」を割り当て、その時間に集中して病棟業務を行うよう業務ローテーションを作成することで、院内の移動によるロスを最小限に抑える取り組みを行っています。

 

なお、補助スタッフを増員する場合は、その人件費以上に薬剤部の収益を上げることが前提になります。A病院では、薬剤管理指導件数を1日6件以上増やすことで、補助スタッフの人件費が賄えると試算しています(指導料単価3,250円×6件×250日=年間4,875,000円)。

関連記事

<戻る

ページトップへ