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2018.10.15更新

第一章 医療業界のコスト削減事例

第36回:事務部門の業務改善③~「総務」を効率化する

前回は、A病院医事部門が取り組んだ業務可視化の3STEPを紹介しました。ここまでで満足してしまいがちなのですが、このままでは生産性向上に繋がりません。業務可視化から課題を発見し、改善に結びつけていくプロセスがとても重要になるのです。今回は、同じくA病院医事部門の業務改善の後半(STEP4と5)を引き続き紹介します。

 

STEP4:改善対象業務の優先順位付けと課題整理

STEP3で実施した業務量調査を集計し、年間業務量の多い業務内容順に整理すると、約60項目の業務リストのうち10項目でA病院医事課全業務の80%を占めることが分かりました(下図)。A病院では改善対象項目をこの10項目に絞り、一つ一つ現状の課題を洗い出していきました。

 

 

洗い出したA病院医事課の課題を整理すると、大きく3つに集約されます。

医事の専門知識が不要な「一般事務業務」が多い

ハイライトした業務(電話受付、処方箋渡し、初診受付、受付会計、面会者対応、スキャナー業務)は医事専門知識が特に不要で、手順さえ決めれば誰でも対応できる業務ですが、これら一般事務業務がA病院医事課全体の36%を占めており、本来医事課が実施すべき専門業務を圧迫していることが分かりました。

 

マルチタスクが多い

集計の過程で、外来窓口のスタッフがレセプト入力をしながら電話対応をしたり、医事入力の合間に初診受付をしたり等、複数業務を同時に実施しているケースが多いことがわかりました。医事入力やレセプト業務は集中力を要するので、患者対応などで中断されると業務が非効率になります。

 

非定型業務への認識がスタッフによって異なる

医事入力は医事課の主要業務ですが、一症例にかかる時間を比較するとスタッフによって大きな差がありました。医事データ入力の目的は正確な診療報酬請求、鑑査や訴訟対策等であり、完璧なデータ作成ができればベストです。しかし、完璧100とした場合80のレベルで目的が達成されるのに、こだわって100を求めがちなスタッフが多く、彼らは業務時間がより多くかかる傾向がありました。
また、非定型業務(専門知識を必要とし、患者や状況によって判断が求められる)に分類されても、全体的な業務フローは標準化できるなど、一部定型化できることも分かりました。

 

STEP5:改善策の検討と実行!

制約条件も加味しながら改善策を検討し、実行に移します。A病院では主に次のような改善策を検討しました。

① 定型業務(例えば、電話対応とスキャナー業務)担当を特定のスタッフに集約し、その他スタッフが専門的な非定型業務に集中できるようにする。中期的には他の事務部門(総務部、広報課、人事課など)も含めて一般事務業務を集約する。
② レセプト病名入力業務は医師が確実に入力すれば医事課負担も減るため、医師と協議し協力を得る。
③ 非定型業務のうち医事入力とレセプト内容確認業務については、症例数の多い疾患について「必須内容」「任意項目」「不要項目」を明確にして医事課内で標準化する。

 

院長や事務長と話をしていると、「来年度増員の要望があるが、事務部門の適正人数がわからない」という相談をよく受けます。STEP1~5を順に実行していくことで、「現在の人数で業務がカバーできる」という結論に達した病院も多くあります。部門別の適正人数検討の際にも是非応用してみてください。

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