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2018.10.22更新

第一章 医療業界のコスト削減事例

第37回:病院におけるタスクシフティングの考え方

政府が企業の働き方改革を押し進めるなか、病院においても特に医師の長時間労働が問題視されています。厚生労働省も「医師の働き方改革に関する検討会」を立ち上げるなど、病院の労働環境の改善は大きな課題になっています。

そんななか、今後注目されていくのがタスクシフティング(業務移譲)です。現在でも、診断書の作成、カルテ記載、診療情報提供書の作成など、医師の事務作業を医師事務作業補助者に移譲している病院は多く、正にタスクシフティングの一例です。

タスクシフティングは病院経営の視点でも重要で、人件費の適正化に直結します。例えば、時給5,000円の医師が10時間勤務すると5,000円×10時間=50,000円の人件費が発生しますが、そのうち3時間の業務が時給1,500円の医師事務作業補助者に移譲できれば(下図①)、

 

医師:5,000円×7時間=35,000円

医師事務作業補助者:1,500円×3時間=4,500円

 

人件費合計は39,500円となり、医師一人で処理するよりも10,500円安価で対応できるようになります。更に、空いた時間で医師が診察や手術といった本来すべき業務を増やすことができれば(下図②)、大きな生産性向上に繋がります。これは医師だけでなく、看護師にも当てはまるでしょう。

 

 

しかしながら、病院のタスクシフティングはまだまだ進んでいない現状があります。その理由としては、

  • 医師事務作業補助者の配置によって得られる診療報酬よりも人件費の方が大きいため、採算が合わないと判断し雇用に消極的になる病院が多い。
  • 医師事務作業補助者は基本的に医師の業務を代行するものであり、看護師をはじめ他の職種の業務代行は行えない。
  • 医師事務作業補助者の多くは派遣であり、質のばらつきが大きい。
  • タスクシフティングを行った結果、問題が生じた際の責任の所在が不明確。
  • 移譲する対象職種(医師事務作業補助者、看護補助、クラークなど)の採用自体が困難

 

といったことが考えられます。戦略的な採用、教育、業務マネジメント、目標管理など、タスクシフティングを成功させるには多くの課題をクリアする必要があります。次回は、タスクシフティングを成功させるポイントを実例で紹介します。

 

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