2018.07.30

看護部の業務改善①~記録時間の短縮~

業務量調査を行うと、誰がどの程度の業務を行い、どの業務にどのくらい負荷がかかっているかといった現状が見えてきます。病棟看護師では、多くの病院で記録や申し送りなど、患者に接しない所謂「間接看護業務」に多くの時間を割いています。ある病院(公立A病院)の調査では、全体の約30%(1勤務を10時間として3時間)も記録と申し送りに要しているという結果でした。A病院は看護師の時間外手当増加が問題になっており、現場が疲弊し退職者が増え、さらに現場が疲弊するという悪循環になっていました。

A病院看護部の記録業務を詳細に調査すると、時間外勤務増加に繋がる様々な課題が見えてきました。例えば、

  • 看護師によって平均記録業務時間が大きく異なる(1時間以内で済ましている看護師から、3時間以上要する看護師まで)
  • 経過表と看護記録に同じ情報を記載している(記録のダブりがある)
  • 記録を後回しにするため、思い出すのに時間がかかる
  • 文章が長く、不要な情報も記載している

などです。そこで、看護部長・副看護部長・各病棟師長を中止にプロジェクトチームを作り、下記の改善策を行いました。

  • 台車とノートパソコンを増やし、全ての受け持ち看護師が病棟に記録用パソコンを持ち運べるようにする。併せて、緊急時を除き「その場記録」を徹底。
  • 同じ情報を複数に記録しない(経過表に入力した情報は、同じである場合記録には書かない)
  • 患者の言葉をそのまま書いたり、行った業務を全て書いたりするのではなく、ポイントを絞って簡潔に書く。
  • 記録を減らすことによる医療安全面のリスクや看護師の不安を軽減する為、上記を「A病院の記録の仕方」としてルール化する。

A病院は改善前と比較して患者数が増えたにも関わらず、患者一人あたり記録時間を約8分短縮させることに成功しました。一人の看護師は約7人の患者を担当するので、看護師一人あたり、1日約60分の時間外業務短縮に相当します。また、業務に余裕が生まれることで、本来の役割である直接看護の質も上がることが期待できます。

今回は看護師の記録を取り上げましたが、それ以外の職種も、記録に代表されるような事務作業が多くの割合を占めており、業務改善は病院経営の非常に大きなテーマになるでしょう。

 連載記事
看護部の業務改善①~記録時間の短縮~
看護部の業務改善②~本当に必要な情報共有とは~
看護部の業務改善③~病棟から外来へのタスクシフティング~
看護部の業務改善④~自病院の適正な看護師数は?~
看護部の業務改善⑤~データ集計作業の効率化事例~
看護部の業務改善⑥~病棟在庫の管理見直しによるコスト削減~
看護部の業務改善⑦~申し送り時間を短縮する~

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