2019.11.05

手術室のマネジメント②~手術室で把握すべきKPI:稼働率~

手術室は入院収益の約30%を生み出し、医業費用の約50%が投入されるとも言われる、急性期病院の中枢部門です。その手術室のマネジメントをしていくには、まずモニタリングすべきKPI(key performance indicator)を定めることが重要です。KPIのなかでも最も重要な指標は、「稼働率」です。

 

稼働率の目標値は60%

弊社調査によると、全国急性期病院の手術室稼働率平均値は50%となっています。我々は一般的に手術室稼働率が60%を超えると「Good」、70%を超えると「Excellent」と評価しています。貴院の稼働率はどうでしょうか?他病院と比較しても低い稼働率の場合は、まず60%を目標値に設定しましょう。

4つの視点で稼働率を詳細に可視化する

手術室全体の稼働率だけでなく、更に4つの視点で細かく稼働率を可視化すると、どこに課題があるかが分かり易くなります。

時系列

横軸に時刻、縦軸に稼働部屋数をとり、時系列で手術室稼働率を把握します。この「稼働曲線」の形を見ることで、どの時間帯に何部屋稼働しているかが確認できます。最も理想的なのは、朝一の患者入室時刻(多くの病院では9:00)時点で全ての部屋が埋まり、そのまま営業終了時間(多くの病院は17:00)まで切れ目なく手術を実施し、残業もない運用(下図で「理想形」の稼働曲線)ですが、このような病院はまずあり得ません。比較的多く見られるのは下図で「A病院」のような、M字型の稼働曲線です。更に稼働率が低い病院では、特に午前中の稼働が低く、17時以降も多くの部屋が残業で稼働していることが多く見られます(下図で「低稼働率病院」の稼働曲線)。

曜日別

曜日別稼働率を算出し、曜日間で大きな差がないかを確認します(①の稼働曲線を曜日別に出すことも有効です)。看護師などのスタッフは一般的に最も稼働が高いタイミング(忙しい曜日)に合わせて配置されるため、曜日間で稼働率の差が大きいと、スタッフ全体の生産性が下がってしまいます。

 

 

部屋別

部屋別(×曜日別)で稼働率を把握することで、「いつ、どの部屋がよく使われているか、逆にあまり使われていないかを可視化できます。この情報は、例えば「1番の部屋は外来手術目的で設計されたので狭く、大きな機材が入らない」、「10番の部屋はハイブリッド手術室なので対象手術が限定される」など、稼働率が低い原因を正確に把握する際に役立ちます

 

 

診療科別

③部屋別×曜日別の縦軸を診療科に変えて稼働率を把握します。診療科別に手術枠を設定している場合は、各診療科が持つ手術枠と照らし合わせることで、自分の枠をしっかり使えている診療科と、あまり使えていない診療科が分かります。この情報は、例えば「火曜日AMは泌尿器科が1枠持っているが稼働が低いので、待機患者が多い外科に変更しよう」といった枠の組み換えを検討する際に役立ちます

 

手術室のマネジメントは、現状の稼働率を把握するところから始まります。もし稼働率が60%未満の場合は、目標値を設定し、様々な視点で原因を可視化していきましょう。

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