2019.11.25

手術室のマネジメント④~手術室で把握すべきKPI:朝一の患者入室時間~

手術室のマネジメントで把握すべき3つ目のKPIは、「朝一の患者入室時間ETFCEntry Time of First Case)」です。ETFCは、当日緊急手術を除きその日の朝一番で実施される手術(First Case)の患者が、各手術室に入室した時刻を見る指標です。

 

ETFCは手術室稼働率と残業時間に影響を与える

朝一番の手術が9時に始まる病院と11時に始まる病院では、明らかに前者の方が多くの手術を実施することができ、手術室稼働率も高くなります。また、朝一番の手術の患者入室がスケジュールから遅れると、その後の予定もずれていき最後の手術の終了も遅くなるため、残業が増える一因になります。従って、ETFCは早ければ早いほどよく、手術室稼働率と残業時間の両方に影響を与える非常に重要な要素になります。

 

ETFCを評価する時に有効な2つの視点

ETFCを評価する時は、主に2つの視点で分析するとよいでしょう。

稼働曲線の朝一の立ち上がり

午前中の手術室稼働曲線の傾きを確認することで、朝の手術室マネジメントがしっかり行われているかがすぐに分かります(下図)。ETFCが早いA病院は朝一(多くの病院では9:00)で稼働している手術室の数が多いため、稼働曲線の傾きが直角に近くなります。一方、ETFCが遅い低稼働率病院は朝一の時点で稼働している手術が少ないため、稼働曲線の立ち上がりは緩やかになります。

 

 

診療科別の平均ETFC、もしくは自院ルール順守割合

診療科別にETFCの平均値を算出することはシンプルですが非常に有効な分析方法です。また、自院でルールとして決められている朝一番の入室時間を順守した割合(例えば、「朝一番の手術患者は9:00までに入室」というルールがある病院は、9時前入室件数割合)を使用しても良いと思います。

 

 

ETFCを早期化するための5つのポイント

ETFCに関連する部署は主に手術室と病棟であり、両部署の連携が重要になります。ETFCを早期化するために重要なポイントは主に5つあります。

ルールを決める

そもそも自院にルールがなければ、「朝一番の手術は9:00までに患者入室する」というような基準を作るところから始めましょう。上述のような分析を通してモニタリングが可能になり、職員の意識も変わります。

病棟のオペ出し業務改善

朝の病棟はとても忙しく、申し送りや朝会に併せてオペ出し業務をしなくてはなりません。オペ出し時刻より前に申し送りを終了させる、ライン確保を病棟ではなく手術室で実施する等、スムーズにオペ出しをするための改善策がないか、検討しましょう。

病棟看護師と手術室看護師の連携強化

病棟の受け持ち看護師と手術室の担当看護師の申し送りに時間がかかったり、手術室到着時刻が重なり入室待ちが発生したりすると、ETFCが遅くなる一因になります。申し送り内容を事前に定型化しておく、患者ごとに入室時刻をずらす等、両部門の連携強化が重要です。

執刀医の入室時間早期化

執刀医の入室時間に合わせてETFCが決まることもあります。その場合、手術前に執刀医が病棟回診や外来業務に時間をかけていると、手術室に入る時間が遅くなるため、それに影響されてETFCも遅くなってしまいます。執刀医にも入室時刻のルールをしっかり意識してもらうことが重要です。

麻酔科医の入室時間早期化

麻酔科管理の場合は麻酔科医が麻酔をかけないと手術を始めることができないため、麻酔科医の入室時間にETFCが影響を受ける場合があります。④と同様に、麻酔科医も連携してETFCの早期化に取り組むことが重要です。

 

世間でも「朝活」がその日の生産性をアップさせると言われていますが、手術室の「朝活」の実施度合いがまさにETFCに反映されます。「早く手術を始めて早く帰る!」を目標に、ETFC早期化を図っていきましょう。

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