2020.05.25

病院のプロジェクト事例2:看護記録業務の改善

病院・プロジェクトの概要

病院の現状・経営課題

クライアントは全国平均以上のペースで人口減少・高齢化が進む二次医療圏にある基幹病院です。患者像の複雑化に伴って救急・手術対応に昔より多くの人手が必要になっている一方、都市部から離れているという地理的な制約や、経営母体の自治体の規則で産休・育休者も職員定数に含まれ人事権が病院にないなどの組織上の制約により、看護師が常に不足していました。それに伴い、夜勤の平均終了時刻が昼の11時過ぎになるなど現場の業務負担が増加し、時間外手当は申請された分だけでも月に約800万円以上に昇っていました。

なんらかの問題から業務負荷がある閾値を超えると、それに耐えられず離職者が増え、残された職員の負担が増して更に離職者が増えるという負のスパイラルに陥ってしまいます。クライアントは現在の人員だけで業務改善を行い、そのスパイラルから抜け出す必要がありました。

課題解決に向けたアプローチ

1.働き方と課題の可視化

わざと非効率に業務をする人はいません。部署内のルール・慣習・上司からの指示など様々な制約のなかで、看護師一人ひとりができる限り頑張っているのは事実です。そこから現状を変えていくには、まず業務を可視化して客観的に分析し、自分たちの働き方の課題を理解することが必要です。

プロジェクトでは業務量調査を実施し、病棟看護師の1日の時間の使い方、病棟間の差異を全て可視化しました。その結果をもとに看護部長・副看護部長と議論した結果、「記録」に絞って改善をしていくことになりました。

ターゲットを記録にしたのは、①業務全体の約2割を占めている、②病棟間・個人間の差が大きい、③過去のヒアリングで課題であることが分かっており現場の協力が得られやすい、といった理由で、最も大きな効果が得られると判断したためです。

2.研修による意識改革

これまでの働き方や意識に新たな気づきを与え、主体的な改善活動を引き出すために、病棟師長・副師長を対象に月1回の研修を行い、そこで学んだことや決めたことを病棟にフィードバックし、翌月の研修で新たな課題に取り組むという形でPDCAサイクルを回しながら進めました。

3.やめる・標準化の徹底

業務量調査と研修を通して、「標準化すること」と「重複・不要をやめる」の視点で様々な施策を行いました。例えば、①記録する内容と記録方法を最も効率的な病棟に統一する、②カルテを見れば分かる不要な申し送りを廃止、②入院時業務のチェックリスト化と入退院支援センターとの情報共有で業務の重複を解消、③経過表と記録の重複をなくす、④パスを整備してパス適応率を上げる、⑤ノートパソコンを増やして逐次記録を徹底する、などです。

実施効果

1年間かけて改善に取り組んだ結果、看護師一人あたり・一日あたりの記録時間は約50分短縮しました。また、研修による改善のPDCAサイクルが記録以外の業務改善にも波及し、患者数が前年度より月5件増加したにも関わらず、時間外手当は月約250万円(年間約2,700万円)減少しました。

病棟は毎日目の前の業務に追われているため、視野や意識が狭くなりがちです。自分たちの業務を客観的に振り返る機会を業務調査と研修という形で半ば強制的に作ることで、これまで漫然と従っていたルールや慣習は変えることができるという意識改革にも繋がりました。

 

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