2020.05.29

病院のプロジェクト事例3:査定を増やさず救急医療管理加算件数を増やす

病院・プロジェクトの概要

病院の現状・経営課題

クライアントは、入院患者の半数以上を救急が占める二次救急病院です。救急車を断らない方針を掲げ、地域医療に貢献しています。一方、病床数あたりの救急車受け入れ件数は県内でも上位でありながら、救急医療への貢献を評価する救急医療係数は全国DPC病院のなかで平均以下に留まっていました。

救急医療係数は救急医療管理加算の算定件数と相関がありますが、救急医療管理加算は支払基金で厳しく査定される項目でもあります。医事課は成果指標の一つとして査定率を設定しており、「査定を受けないこと」を最優先に請求業務を行っていました。

このプロジェクトは、査定を増やさずに救急医療管理加算の算定件数を増やすこと、つまり「算定の適正化」を目的にスタートしました。

課題解決に向けたアプローチ

  1. 算定基準の具体化
    これまでは、救急対応する医師によって「重症」の判断基準が異なること、そして加算2の理由を記入するのが面倒で加算対象外とする医師が非常に多かったことから、かなりの機会損失があることが明らかになりました。そこで、使用されていたチェックシートを改良し、医科診療報酬点数表で定義されているア~コの状態それぞれに、具体的な基準(例:「イ 意識障害又は昏睡」であれば入院時JCS10以上)を設定しました。また、加算2については過去の記録や実際に算定した患者データから頻度の高い理由を抽出してリスト化し、フリー記入部分を少なくしました。
  2. 医事課のマインドセット改革
    医事課は請求時にチェックシートとカルテを突合し、過去の経験から査定可能性が高い患者に対しては、医師が加算対象と判断しても請求しない運用をしていました。そのことを医師にフィードバックする機会も無かったため、年々算定件数が減少している状況でした。
    この課題を解決するには、根本的なところで医事課の役割を「査定の最小化」から「診療報酬支払の最大化」に変える必要がありました。このマインドセット改革を進めるために、過去の請求と査定結果の実績データから査定傾向を分析し、積極的に請求しても査定は増えない可能性を提示しました。また、病院長のトップダウンで救急医療管理加算を暫定的に査定率の対象から除外し、積極的な請求をサポートしました。
  3. 医師と医事課の協力体制構築
    医師にも救急医療管理加算の重要性を理解してもらったうえで、医師と医事課の協力体制を構築していきました。具体的には、①「1」で作成した基準を参考に、査定の可能性が高い患者には医事課から症状詳記の記載を医師に依頼する、②医師が加算対象外と判断した患者でも基準に該当している場合は、医師に確認して加算請求する、③毎月各診療科に加算算定状況をフィードバックし認識を共有する、といった仕組みを取り入れました。

実施効果

救急医療管理加算は、都道府県や社保or国保、更には審査員によっても査定の厳しさが大きく異なることが分かっており、統一された基準がないのが現状です。だからこそ、データに基づく具体的かつ客観的な算定基準を作成することで、院内のばらつきや査定に対する過剰な心配を軽減することができ、適正算定(=機会損失の低減)に繋がります。

結果として、査定率は全く上昇せずに救急医療管理加算算定件数を増やすことができ、加算分で年間約1,100万円の増収、翌年の救急医療係数は全国DPC病院の平均値を超え、係数分で年間約300万円の増収を達成することができました。

 

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