ファシリティマネジメント企業での事例

複数施設の一括した管理業務を受託していたクライアント。初めは、手作業での委託元への報告業務を効率化するためのシステム導入の依頼という形でお話をいただきました。

しかし、業務全体を俯瞰してみると、問題はシステムの性能自体というよりもむしろ、システムを利用するオペレーションにあったのです。管理委託元が利用していたシステムとクライアントが使用していたシステムが連動していないことや、報告レポート作成のためのグラフ化を行うExcel作業を行える人物が1人しかおらずスムーズにレポート作成が進まないといった課題をBIツール(月額数百円程度)の導入によって解決し、大掛かりなシステム開発に踏み切ることなく業務効率化を達成しました。その結果、レポーティングの質が上がったことによってクライアントへの委託元がコストが高い施設の閉鎖を決定する後押しができました。

ここで、クライアントにとっては「施設管理業務が効率化される＝委託元の施設管理費予算が減る＝管理を請け負う側(自分たち)の売上も減る」という矛盾が発生していることが明らかになり、代わりになるビジネスモデルの模索が始まりました。初めはシステム導入の依頼でしたが、最終的にビジネスモデルにおける本質的な問題を認識することにつながり、クライアントは新たなスタートを切ることができたのです。

外資系高級食品小売り会社での調達プロセス最適化プロジェクト事例

調達部が無く、売上の責任を持つマーケティング部が主導で資材調達をしていたクライアント。また外資系によくみられる縦割り組織のため、自分たちではなかなか部署を横断した取組みが困難で、全社的な取り組みがしたいという話をいただきました。　

また、販促物の発注において一つのデザイン会社にデザインだけでなくその資材の調達まで任せてしまっており、クライアント社内では購入品管理を行なっていませんでした。そのため、まずはサプライチェーン全体で連帯感を高めるため、サプライヤー同士に「仲良く」なってもらうための場を用意し、自発的な調達改善を促しました。

結果、従来作っては捨てていたイベント用販促物の可能な限りの流用と、それを実現するための「清掃・検査」「管理」という新たな段階を加えた循環型の調達プロセス再構築を行うことになり、約40%(年間1億円)の調達コスト削減が達成されました。

初めは社内を横断した取り組みをとの依頼でしたが、最終的には社内にとどまらずサプライヤーまで含めた結束を実現し、サプライチェーン全体が自然とコスト削減に向かうような体制を整えることに成功したのです。

外食チェーン企業でのコスト削減事例

MBOにより株主が変わるタイミングにあったクライアント。再上場を見越した利益創出をということで全社横断的にコスト削減をしたいというお話をいただきました。

実は他ファームが既にコスト削減プロジェクトを行なっており、目立つ部分のコストは削減されていたのですが、セントラルキッチン方式を採用していたりとまだまだ意思決定次第では削減できる費用がありました。そのため、社内の力関係において購買部が弱いという企業体質に焦点を当て、コンサルタント主導で社内のチーム構築を行うことで社内でのコストに対する問題意識を共有し、「本来ならば削減できるはずのコスト」を逃すことなく削減できるよう意思決定を促しました。

結果、包装資材や電力・ガスについて仕様変更も含めた見直しを行い、約10億円弱(4%)のコスト削減が達成されました。削減が容易なコストを削減するだけではなく、社内の力関係に左右されない公平な意思決定プロセスを構築して企業体質そのものをコストに強いものへと変えることに成功したのです。