2020.04.30

外資系高級食品小売り会社の調達プロセス最適化プロジェクト事例

 今回は、外資系高級食品小売り会社の調達プロセス最適化プロジェクト事例をご紹介いたします。

 

 このクライアント内には調達部が無く、売上の責任を持っているマーケティング部主導で食品原価以外の資材調達(=コスト管理)をしていました。そのためコスト意識が低く、また外資系によくみられる縦割り組織のため、部署を横断した全社の取組みによるコスト削減の依頼がありました。

 売上が100億を超えるクライアントで調達部として機能していたのは、なんと、マンションの1室をオフィスにしていた零細企業でした。販促物のデザイン会社であり、POPを含めた複数の販促物をデザイン、製造(依頼)していたのですが、発注ルートが「クライアント→零細企業→販促物メーカー」となっており、クライアント車内では実際の購入品の管理(仕様書含め)をしていなかったのです。

 これらを踏まえ、このケースでは課題が以下の3つにまとめられました。

  1. 部署間のコミュニケーションが希薄で、全社横断的な活動がそもそも行いづらい文化
  2. クライアント内に調達部がないことによるコスト管理に責任を持つ部署・担当者の不在
  3. 長年、某サプライヤー1社にデザインから納入だけでなく使用説明書まで全てを頼っているため、スイッチングが困難

これらのうち、特に3つめの制約がシビアだったため新規サプライヤー開拓は行わず、施策方針としては「デザイン性の高い資材の関しては現行のまま廃棄としつつ、機能性のみを求められ再利用が可能な資材に関しては調達プロセスに清掃・検査および保管を追加して積極的な再利用を行う」となり、最終的には約40%・年間1億円のコスト削減を実現しました。

 今回は大まかに以下の表のような形で施策を進めていきました。このプロセスの過程で3ヵ月に1回、関係するサプライヤー全員(サプライチェーンの上流から下流までの)を集めて、お菓子を食べながら、コスト削減を達成するためのアイデア出しから実現までを話し合う場を持ちました。(仲良くなってもらうことが本当の目的)最初はお互い、「何で集められたんだ?」という顔をしていましたが、今回の取組の目的を伝え続けた結果、3回目以降からは弊社を介さずサプライヤー間で改善に向けた話し合いを進めてくれるようになりました。

 この図で今回は「調達プロセスの変更」を赤字で示しています。もともと「作っては捨て、作っては捨て…」を繰り返す一方向の直線型プロセスが敷かれていたのですが、ここに「清掃・検査」「保管」を組み込むことで例えばホワイトデー等のイベント用に作られた販促用POP等の資材のように再利用可能なものは捨てず、無駄な資材の購入を抑えられる循環型の調達プロセスへと再構築していきました。

これらのプロセスを導入してから初のイベント終了後、資材のサプライチェーンを全て回りました。これは各プロセスである「清掃」サプライヤー、「検査」サプライヤー、「保管」サプライヤーのところに資材が届くタイミングで作業を見届けるためです。

 変更についての具体例を挙げると、新しい「保管」のプロセスに関して、それまでは店舗に資材が綺麗な状態で届けばよかったので梱包は薄い段ボールを使っていたのですが、店舗からまた運び出されることを考慮して2重の強化段ボールに変える、などといった変更が為されています。

 これは余談ですが、この「2重の強化段ボール」を使用し始めたタイミングで厄介なことが起きました。とある、駅ビルに入っているタイプの店舗にて、新段ボールを駅ビル用の倉庫においていたところ、どこから入ったのか『良い段ボール発見!』と、浮浪者の方が盗んで行くというような事態が発生したのです。このため、回収の際に段ボールが無く破損して返ってくる資材がありました。この事態に関しては「イベントの終了日2日前に店舗側で収納用の段ボールを確認してもらい、ないor破損している場合は、追加で本部から段ボールを送付する」という念押し作業によって対応しました。もちろん、これはあくまで段ボールの盗難が起きたことに対しての事後策なので、駅ビル側に倉庫のセキュリティの強化を要請すると行った対応も必要でしょう。このように、時には良識の範囲を超えたアクシデントも発生します。コスト削減の方法を策定するにあたって真っ先に考えることではありませんが、そこも含めて様々なリスクを想定できるとより柔軟に、現場の状況に即したオペレーション変更が可能になるかと思います。

 

 いかがでしたでしょうか。日本の場合は特に、サプライヤーが良いコスト削減施策のアイデアを持っています。サプライヤーは敵ではなく友達と思って味方につけ、一緒に社内のコスト意識改革を促すことが肝要となります。コスト削減だからと言って社内のことばかり気にかけるのではなく、外にも目を向けてみると発見があるものなので、意識的に外にアイデアを探しに行きましょう!

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