2020.05.11

学習費用を考える〜予備校から大人の学び直しまで、その費用と効果〜

 今日は、学びの費用、つまり教育費について考えてみたいと思います。特にお子さんがいらっしゃるご家庭では、多かれ少なかれ学費について考えさせられる機会があることでしょう。お子さんの教育費は幼稚園から大学まで15年以上に渡りつきまとうものですから、親御さんに取っては大きな負担にもなりかねません。今日は、大学や高校受験に向けた予備校(塾)の費用に関して考えてみたいと思います。

 また、近年では大学院生の2割近くが社会人入学という数値が出ています。大人の学び直しの機会が増えたことにより、対応する教育サービスも増えてきました。後半では、社会人の学習についてもみていきたいと思います。

 

“学力”は、いつ伸びる?

 1つ目は予備校(塾)の費用ですが、一般的な予備校(塾)での集団授業は1科目あたり年間10〜20万程度が相場と言われてますので、主要科目(国数英)だけでも年間数十万が掛かるのが一般的です。もちろん、授業料の他にも模試の費用や夏季講習などの追加講習、交通費など様々な費用が加わります。これらの費用は、どこまで費やすのが適切なのか、考えてみたいと思います。

 まず大前提として、予備校(塾)に通うと学力が伸びるのか?、というそもそもの疑問ですが、どんなに素晴らしい授業を受けても基本的に授業を受けている時点では学力は伸びません。授業は論理を理解したり、論点を整理しているだけですので、inputをしているだけです。勉強もある程度スポーツの上達と似ている部分はあると思います。どんなに監督がうまく説明しても、反復して練習しない限り技能や体力はつきません。勉強も同じで、授業やテキストで理解した上で暗記したり問題を解いたりして、outputの練習をしなければ実力はつきません。

 筆者の経験ですが、教育関係の仕事に就いていた時、学力が芳しくない子の話を聞いてみて驚いたことがありました。日々、どんな生活をしているのかを尋ねると、ほぼ毎日学校の後に学習塾に通っているというのです。授業の受け方が悪いかというと、必ずしもそうとは言い切れず、ノートをきちんと取っていました。学校も私立校だったので、学費は相当な額にのぼっていたはずです。この人の場合、多くの授業を受けていたにもかかわらず、学力向上につながらなかった一番の原因は、授業を消化できていなかったという点です。習ったことを自分のものにして、テストで問題が解けるようになるには、授業の予習復習や応用(演習)問題を解く時間が必要です。しかしながら、学校で授業を受け、放課後には毎日のように塾に通っていては、消化するための時間が絶対的に足りないのです。

 この予習や復習に費やす時間の目安は、筆者の主観ですが、授業1時間に対して、予習復習に1時間ぐらいかけることで、内容が消化できる、と考えるいいと思います。予習と復習の比率に関しては、授業の内容にもよります。新しい内容、初めて学習する単元に関しては、予習は少なめで、むしろ習ったことを定着させるために復習をしっかりやるべきでしょう。逆に、問題を解いたり、応用的な内容の授業であれば、事前にしっかり課題に取り組んでおく必要があるので、予習が肝になります。そして、復習は、間違えた問題のとき直しや、わからなかった部分の確認をすればいいので、場合によってはほんの少しの時間しか必要ないかもしれません。したがって、予習と復習の比率をイメージすると、新しい内容であれば、予習:復習は1:4で、逆に演習の授業であれば、予習:復習は4:1、といったように捉えていただくのがいいかと思います。

 以上の話をまとめますと、学力を上げるために重要なことは、自分で手を動かしたり、考えたり時間を持つことです。これらの時間は基本的に授業外の時間になります。予習であれば、テキストを読んだり問題を解いておき、疑問点を洗い出しておきます。事前準備した場合とそうでない場合では、同じ1時間の授業でも理解度が違います。また、授業後は例題や応用問題を解くことではじめて、テストで点数が取れる力がつきます。

 ここまで、コスト削減の話ではなく学力向上のコツのような話をしてきました。紙幅を割いたのには理由があります。多くの人は、学力を上げるためには”良い授業”を受ける必要があると思っています。もちろん、”良い授業”を受けることは大切ですが、それだけで学力が上がることはほとんどありません。学力は授業を受けている瞬間に上がっていくというよりは、一人で机に向かっている瞬間(問題を解いたり、暗記したり)に上がってきいます。この点をまず押さえておく必要があると思いまして、少し長い前置きをさせて頂きました。

 そう考えると、重要な点は予備校や塾に通ったとして、学校の授業だけでなくさらに予備校(塾)の分の予習復習の時間を割けるのか、という視点で予備校(塾)に通い始めるべきです。ありがちなイメージは予備校(塾)の授業を受ければ学力が向上するのではないか、という神話のようなイメージです。これが学力向上につながらないことは、上述の通りです。どんなに授業を受けても、自習の時間を確保しない限り、学力向上にはつながりません。

 以上を踏まえると、学力を上げるという目的を達成するために必要なことは、自分で問題を解きわからないことを質問できる、という環境を整えることです。この環境は学校でも達成できるケースはあると思いますが、もし難しい時は予備校(塾)を活用する方法もあると思います。例えば、単にわからない内容について質問をするだけなら、たいていの先生であれば答えてくれると思います。しかし、英作文の添削をしてもらう、論述問題の採点をしてもらうなどのように、それなりに時間がかかり、かつ定期的に行う必要があるものの場合は、学校の先生だけでは難しいケースもあるかと思います。その場合は、予備校や塾を利用するのも方法の一つです。また、授業を受けたいのではなく質問がしたい、というケースもあるかと思います。その場合は、集団授業を受けるのではなく、個別指導形式の指導を受ける、という選択肢もあります。当然、個別指導の方が時間あたりの費用は高くつきますが、目的に対しての効果を考えると、こちらの方が利用価値が高いケースもあるでしょう。

 したがって、予備校(塾)を利用する上で重要な点は、受ける授業を増やすことではなく、自分が学習するための環境を整える、という視点を持つことです。そのために必要な科目だけ予備校(塾)・個別指導などを利用する、という視点を持っていれば、必要以上に授業をとることもなくなり、結果として費用も抑えられるでしょう。

 

コンテンツだけなら映像授業で十分

 予備校(塾)の費用を下げる上でもう一つポイントとなるのが、インターネットを利用した映像授業です。最近はコンテンツも充実しており、無料のものでも基礎的な理解であれば十分に対応できる科目もあります。また、有料のものでも予備校(塾)に通うより遥かに安価に授業を受けることができます。

 映像授業の特徴を挙げますと、安い(もしくは無料)と言っても内容は申し分のないレベルのものが多いです。したがって、授業を受けて内容を理解することが目的であれば、映像授業で十分と言えます。ただし、映像授業にはデメリットもあります。映像授業ですと受講のスケジュールや理解度を自分で確認していく必要があります。実際に通学する授業であればその辺りはある程度、先生が確認してくれますが、映像授業ですと配信された映像を見て自分で理解度チェックテストなどを受けて確認する必要があるので、自己管理が必要です。また上述の通り、疑問点を解消するためのサポートがあるかどうかも重要な点です。近年、映像配信形式のサービスでも質問を受け付けるサービスを始めているところもあるようですので、併せて利用してみても良いでしょう。

 ここまで紹介してきた各サービスの長所・短所をまとめたものが下の表です。学習塾や予備校などの集団授業は、1クラス10人程度のものから100人を超えるものまで、規模が大きく異なるので一概には言えませんが、1クラスの人数が大きくなるほど、個別の質問への対応は難しくなります。一方で、授業の教え方などはある程度の品質が保てるようにチェックされていることが多いですし、スケジュールに関しても必要な内容が消化できるように組まれています。

 個別指導形式の場合、1対1もしくは1対2くらいで指導が受けられるので、個別の質疑を中心とした指導が受けられのが長所と言えるでしょう。ただ、1時間あたりのコストを考えると、やはり個別指導は高めの金額となりますので、学校で習う内容の全てを個別指導形式で教えてもらうとなると相当なコストがかかります。したがって、学習そのものは自分で進めていく(自習する)のが一般的で、学習の進度などをチェックしてもらうことは可能です。

増えつつある大人の学び直しサービス

 近年、大学を卒業後の社会人が、再度、勉強に取り組むケースが増えているようで、対応するサービス(いわゆるリカレント教育)も増えてきています。学び直しのパターンをいくつかご紹介しますと、資格を取りたい(仕事のための資格や語学系の資格など)、技能を得たい(近年流行りつつあるプログラミングやAIの技術取得など)、学校に入りたい(大学院や専門学校など)、教養を深めたい(歴史や俳諧の教養など)、といった多様な目的により、社会人の学び直しニーズが生まれています。

 従来は、社会人向けの教育サービスといえば、英会話スクールがメジャーで、あとは資格合格に向けた集団授業形式の予備校などがありました。一方で、最近は受験に向けた学習塾が社会人向けのコースを用意するなど、受験教育サービスの裾野が広がっています。また、インターネットコンテンツが充実してきています。先に紹介した大学受験向けの映像配信を行うサービスの中には、TOEIC対策などの語学学習用コンテンツが含まれていたりしますので、大人も利用できるコンテンツが入っています。また、プログラミングの学習も映像配信の講座が月1000円程度で観放題など、安価で充実したコンテンツが利用できます。

 ただ、インターネットで学習しただけでは十分とは言えないケースもあるかと思います。例えば、転職など新たな道を進むために学び直しをしているのだとしたら、知見を深めたり、技能を習得するだけでなく、やはりその分野に明るい人と繋がっておくことも大切です。例えば、プログラミングなどのIT分野では、ポータルサイトなどを通じて、初対面同士でもリアルに集まって学び合う環境などがありますが、そういった機会が少ない分野もあることでしょう。その場合は、やはり集団授業を受けるなど、実際に人と会える環境で繋がりを作っていく必要がありますが、インターネットの講座と比較すると、リアルな集団授業は一般的に割高になります。そこでまず確認したいのが、教育訓練給付制度などの国の補助が受けられるかどうかです。要件を満たせば、受講料の20%(上限10万円)の補助が受けられるというものですが、分野によっては70%近くの補助が受けられることもあります。注意点としては、雇用保険に一定期間以上加入していることなど、要件が定められていますし、受けようとしている講座が給付金の対象かどうかの確認も必要です。したがって、ご自身が要件を満たしているか、その講座が給付の対象か、という両方を満たす必要があるので、注意が必要ですが、補助が受けられれば、大きなコスト削減に繋がることもあるでしょう。

 

 いかがでしたでしょうか?まず、予備校(塾)の費用や効果を考える上で重要な点は、学力向上という目的のためには授業を受けること以上に自分で問題を解いたり、暗記したりする時間が大切で、そこで出てきた疑問を解消するための環境作りが大切であるということです。その環境を整えるために、状況に応じていくつかのサービスを組み合わせて活用することが大切と言えるでしょう。大人の学び直しについても、社会人向けの教育サービスは充実しつつあるので、ぜひ活用してみてください。

記事をお読みになった方へ

コスト総研では、コスト削減にご興味のある皆様に
「簡易コスト診断」「資料ダウンロード」「コンサルマッチング支援」
無料にて ご用意しております。詳しくはこちらをご覧ください。

Related Tags

関連タグ

資料ダウンロード

コスト削減の基礎から応用までを体系的に学ぶことができる、
コスト総研オリジナルの資料です。