毎年のように現場から看護師増員の要望書が提出され、労働組合からは労働環境改善の要求を受けるも、自病院の看護部の人数は本当に足りないのか?それとも、人数ではなく生産性に問題があるのだろうか?と頭を悩ませる経営幹部も多いはずです。今回は、最もシンプルな指標として、「100床あたり常勤看護師数」で全国の病院の傾向をみてみましょう。
7対1病院は、「病床数≒看護師数」が目安
最も手厚い看護配置が必要とされる7対1入院基本料を算定している病院は、看護師と准看護師を合わせて平均98.0人/100床となります。「病床数≒看護師数」、例えば300床であれば約300人が一つの目安であると覚えておくと分かり易いでしょう。
10対1病院は、「100床あたり75人」が平均値だが、病院による差が大きい
7対1に次いで手厚い看護配置が必要とされる10対1入院基本料を算定している病院は、看護師と准看護師を合わせて平均75.8人/100床となります。但し、10対1病院は7対1病院と比較して病院機能の差が大きいことに注意が必要です。また、民間の中小病院が多く、人員確保が困難であることや人材の流動性が乏しいことから、准看護師や補助看護者の人数が多いことも特徴です。
実際に誰もが納得する方法で精緻に適正人数を算出しようとすると、患者要因(患者の重症度、疾患構成、認知症の有無など)や体制要因(夜勤可能な看護師数、看護師の技術レベルなど)も考慮する必要があるため、非常に時間がかかります。さらに、状況変化に合わせて適正人数の修正を繰り返すのは大きな負担になります。まずは今回のようなシンプルな指標で、「目安」を把握するだけでもマネジメントが容易になるでしょう。
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