コスト削減はサイエンス
皆さん、心のどこかで“コストを管理することは、やろうと思えば誰でもできる”と思っていないでしょうか。正直、私も真剣にコスト管理について学び、実践する以前はそのように思っていました。しかし、経営コンサルティング会社に入社し、コンサルタントとしてクライアントのコストを削減し、目に見える価値(=利益創出)を提供するためにはノウハウといったスキルが必要不可欠であることを痛感しました。“売上に不思議な売上あり、コストに不思議なコストなし”だと分かったのです。それからは原価管理やコスト削減の書籍だけでなく、社内のノウハウやビジネスケースを理解し実践し、少しずつ血肉としていきました。
そこで分かったことは、コスト削減はサイエンスであり、当たり前のことを当たり前にやれていればコストは下げられるということでした。サイエンスは再現性があります。コスト管理もやり方を間違わず、確実にこなしていけば誰でもできるはずです。ただ、そのやり方を学ぶ機会が少なく、確実にこなすためのスキルが身に付けにくいだけです。まずは興味を持ち、学びながら実践していくことで一歩ずつ、ノウハウとスキルを身に着けていくしかありません。
ノウハウやスキルと言っても、今までも見聞きしたことなのです。例えば、家電量販店で自宅用のノートパソコンを買う場面を想像してみてください。事前に比較サイト等を使用し、どれくらいの価格で、どれくらいのスペックの機種が、どこから買えるのかという情報をインプットします。そして、具体的に2-3機種に絞って、家電量販店に価格交渉も兼ねて出かけ、いくつかの家電量販店を回りながら、機種を決め、どの家電量販店で買うか決め、担当者と最終交渉し、購入するのではないでしょうか。そうです、コストを下げる視点は日常生活の中で皆さんが実践していることなのです。
コスト削減に必要な3つの視点
コスト削減に必要な視点を整理すると、以下の3つになります。
①何を買うか?(コスト削減の影響度:大)
機種のことです。機種によって、おおよその価格帯が決まってくるため、機種選びこそ最も気を使わなければなりません。
②誰から買うか?(コスト削減の影響度:中)
どの家電量販店で買うかということです。家電量販店間で値下げ率(メーカーとの力関係による)が異なるため、時間というコストとバランスを見ながら可能な限り比較すべきです。
③どうやって買うか?(コスト削減の影響度:小)
カードで買うか、現金で買うかということです。通常、カードで買うと貰えるポイントが下がったりしますよね。影響度は小さいですが、見逃せません。
以上の3点を意識することで、会社であれば上司、家庭であれば財布を握っている妻に買いたいものを相談する際に、“いかに安く、欲しいものを買えるか可能な限り検討した結果なので、購入を許してください”と、説明もしやすくなるかと思います。