使い方次第で効果は何倍にもなる
コンサルティングを頼む際、”何を””どのように”コンサルタントに頼めば良いのかを分からないことがあるのではないでしょうか。欧米の企業に比べると日本の企業はコンサル慣れしていないといわれています(自分もそう感じています)。コンサルタントをうまく使えば、会社に利益をもたらすことは勿論のこと、従業員個人にとってもスキル向上につながります。
「コンサルタントの役割」の記事で明記した7つの役割を基にして、具体的にどのようにコンサルタントを使っていくべきかを見ていきましょう。コンサル会社を選ぶところからプロジェクト完了までの時系列で説明していきます。
①社内稟議用にコンサル会社からの提案書比較表を作成してもらう
社内向けに発注するコンサル会社を「なぜ選んだか?」を説明するため、資料(主にpowerpoint)を発注先のコンサル会社に作ってもらうことです。他社とNDAを締結している場合は、一つのコンサル会社に全ての他社情報を見せる訳にはいきません。コンサル会社には「貴社を選んだ正当性を証明したいので、比較表の一番左の列に貴社の提案書項目を表にし、定量化(点数化)してもらった枠を作ってもらえますか?」とお願いすれば良いです。それより右側の列には他社の情報を自ら記入することで、比較表が簡単に出来上がります。
②資料を作成してもらう
これは一般的に依頼していることかもしれません。プロジェクトの目的に沿った資料をコンサル会社が作るかと思いますが、発注元である自社かつ担当者の思惑もプロジェクトオーナー(社長や取締役)がいる場であるからこそ伝えたいものです。思惑と言えどプロジェクトの目的から外れてはいけません。例えば「開発部、生産部、営業部の3部署の○○担当者間の会議体を設定」といった方法論ではありますが、社内で発起すると通りにくい提案等が挙げられます。
③社内の蛸壺組織に横串を刺してもらう
これは当たり前のようにお願いすること思いますが、社内の組織間の壁を越えてもらうことを常に依頼すべきです。特にコスト削減活動を行う場合、中心部署となりがちな購買部や総務部、経理部は社内組織の力関係で弱いことが往々にしてあります。そこで、コンサルタントの力を借りて他部署へ依頼し、複数部署に跨る活動を推進していきます。
④社内に経営者の声を届ける
年始の挨拶や決算資料、人事考課の時などで会社としての方針や想いを現場の方に伝える機会があるかと思います。ただ、伝える上司との関係で良い方向にも悪い方向にも伝えたい内容が変わってしまうものです。そこで、外部であるコンサルタントに経営者として本当に伝えたいことを強調し続けてもらうことで、現場が理解しやすくなります。なぜなら、現場の方々が日頃溜まっている鬱憤を第三者であるコンサルタントには容易に吐き出すことができ、コンサルタントは聞く力を持っているので聞き手に徹してくれるものです。人間、時間の80%話したら「残りの20%は相手の話を聞こう」と自然に思うもので、そうなった状態で経営者の言葉を届けてもらうとより経営者の意図が浸透しやすくなります。
⑤社内の声を経営者に届ける
会社の規模が100人を超えると、現場の声がトップである経営者に届きにくくなります。そんなとき、コンサルタントが集めた現場の声として名前を出さず、問題点や要望を伝えることで経営者も腹に落ちやすくなるものです。現場の方々はコンサルタントが来ると戦々恐々としたりしますが、逆手にとって利用すれば良いのです。
⑥元々抱いていた課題もスコープに追加してもらう
日々、仕事をする中で課題や改善点は色々と見えてきます。それはプロジェクトに関わらないところでも同様です。しかし、プロジェクト以外の業務を掛け持つことが多い状況で、同時に解決に動くことは時間も労力もあっても足りません。そこで、プロジェクト本来の目的がずれない範囲で、「他の○○業務でも同じような問題を抱えている。同時に解決することは出来ないでしょうか?」とコンサルタントに頼めば、首を横に振られることは無いでしょう。
⑦社内外のややこしい会議をファシリテートしてもらう
サプライヤーとの取引を中止したり、他部署に課題を共有し解決に動いてもらったり、コストを削減し利益を上げていくためには心の労力を使う業務も多くあります。そんな時は当日の会議をファシリテートしてもらったり、Bad Cop役を担ってもらうことで場の目的を達成し易くしてもらいます。
⑧社内外のややこしい人とのコミュニケーションのサポートをしてもらう
特に役職がある程度上で(ポイントは上過ぎない役職)、お年を召した方に時々見られる我が強すぎて自分以外の意見を聞けない人とのコミュニケーションは、メールだけでも骨が折れるものです。コンサルタントは経営者から権限が付与され、社内を動かしていきます。コンサルタントと共に動くことで日頃はコミュニケーションがとりづらい方ともじっくり話すことができ、実は良い人であったことを知ったり、素晴らしいアイデアをいただけたりし、プロジェクト後の会社内の雰囲気が良くなることも多々あります。
ここまでコンサルタントの使い方を説明してきましたが、常に心掛けて欲しいこともあります。それは、「いずれコンサルタントはいなくなるので、その時は自分でその役割を担わなければならない」ということです。色んな場面でコンサルタントに頼ることは悪いことではありませんが、自分の成長のためにもコンサルタントのやり方から学んでいく姿勢が必要になります。