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どの点が倫理的なのか?
AIやIoT、RPAと技術の進歩により人間の仕事がロボットやソフトウェアに置き換わっているのを肌で感じておられる方もいるかと思います。そんな中、米国ITサービス企業Cognizant社が2017年11月28日のレポートで、今後10年で生まれる21個の職業を挙げています。その中で、今後5年で生まれる可能性のある職業として、Ethical Sourcing Officer(ESO:倫理的調達責任者)という調達に関わる職業があります。
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CSR調達とも少しニュアンスの異なる倫理的調達という言葉。倫理的調達責任者の具体的な役割と持つべき技能と資格は、以下のとおりとされています。
役割
- 倫理委員会に於ける重要メンバーであること。倫理委員会に定常的に出席し、自社の倫理的行動について主体的に考え実行し、倫理的活動の模範となっていく。
- 倫理的調達戦略をより強固にしていくこと。四半期毎に見直しを行い、関係者の関わりをより強め、関係者からのインプット情報を基に調達カテゴリーのインプットを再定義していく。
- 特別に注意する調達関連情報を特定すること。間接材の調達やサプライヤーの振る舞いに関する注意点を優先順位付けし、特に注意すべきものを特定する。
- 品目カテゴリー調査を実施すること。市場連動と拡大かつ自動化されたサプライチェーンに重点を置きながら品目カテゴリーに関する情報を収集、分析、意味出していく。
- 品目カテゴリー別調達計画を策定すること。長期計画(3~6か月計画)と調達戦略(省電力発電やコミュニティ信用取引等)を策定する。
- 分析チームを俯瞰していくこと。品目カテゴリーアナリストチームを率い、品目カテゴリー別調達計画を成功に導くための情報を提供し続けていく。
- 引き渡し条件を取り決め、調整し、確認していくこと。サービスを購入したり提供したり、また正確性を担保すべく定期的に提供されるデータと統合されたサービスを監視していく。
- クライアントによるレビューの主要項目を見直し続けること。サービスの継続性や企業倫理、コミュニティへの付加価値のカテゴリーに於いてベンチマーク分析を行い、倫理委員会に情報共有していく。
- サプライヤーコミュニティと連携していくこと。サプライヤーと連携を深めるために、顧客に売り込み得られた反応を、直接起業家に伝えたり各種フォーラムにて共有していく。
- 倫理的指針を重要視することから得られる学びを共有していくこと。項目の一覧や情報の解釈を倫理委員会やステークホルダーに共有し、これらの情報共有を促すために言語化と項目のタグ付けをしていく。
- 品目カテゴリーの提供情報の質と量を評価していくこと。自動情報提供の仕組みを監視し、市場の反応を基に顧客要求を明らかにしていく。
持つべき技能と資格
- 企業の目的に沿った上での倫理的振る舞いを定義できること
- 経済や法学、政治や哲学といった分野での教育または業務上の経験があれば望ましい
- 卓越したコミュニケーションと人間関係スキル
- チームとして上手く動けること
- 卓越した分析スキル
- 市場から要求されることへの高い感度
- 異なる顧客からの要求に適用し、良き関係性を構築、維持できること
- 交渉と新しいネットワーク構築の才能
- 分別と交渉術
- イノベーションへの渇望
少しわかりづらい文言が並んでいますが、”QCDだけでなく、倫理的視点の優先順位を上げて調達活動を行う必要がある”と言っているのだと思います。
モノやサービスを売る側だけでなく買う側にも倫理的視点が重要になってくるということはつまり、テクノロジーの進歩により人間しか出せない価値がそこ(倫理観)にあるということを伝えたかったのでしょう。