コスト削減が人事目標に入れられたら
「今年度の経費のコスト削減目標は前年比5%減!」。会計年度が変わる頃、トップダウンで社長の一声や取締役会で決まったことを一方的に伝えられたことはありませんか?
部署や個人の目標として上からの命令で行うコスト削減活動ほど、モチベーションが上がらないことはありません。
経営者としては数字目標を達成するための必達な目標であったとしても、「なぜ、5%のコスト削減が必要なのか?」という疑問を明確に伝わらないと、現場の最前線でコスト削減活動をする従業員の能力が最大限発揮されません。
経営者にはコスト削減活動に至るまでのロジックが必ずあります。「3年後に新規製品(サービス)を上市するため、その資金を捻出する必要がある」といった全社的なことから、「3ヵ年計画の最終年度である今年度に、営業利益100億円達成しなければ社長交代になる」といった個人の目標にいたるまで色々ではありますがロジックが存在します。
コスト削減の目的をどのように伝えるか
それでは組織のトップからどのような目的を伝えることが、コスト削減効果を最大化できるのでしょうか?
答えは、「攻めかつ前向きなコスト削減活動であること」を伝えるに尽きます。
よく“売上を上げるのは攻め、コストを下げるのは守り”と言われますが、それは姿勢の問題です。売上は相手(お客様)がいるからこそ攻めていくことが前提のため能動的に動くことが求められます。一方、コストも能動的に動くことで今までは実現できなかったコスト削減を達成できます。つまり攻めのコスト削減により、求めるコスト構造が達成できるのです。
そしてコストを下げて生まれた利益により、新規事業開発やさらなる人材採用ができたり、会社が成長するための原資とすることができます。つまり、さらに良い会社になるための前向きなコスト削減活動なのです。
そもそもコスト情報を知るということは経営のコアに触れることと言えます。コストという数字から、社内のどの部署が効率よく運営されているかを知れたり、売上情報からだけでは知ることのできない情報を知ることができます。
さらに、人は誰でも今日より明日を良くしたいと思っています。未来に希望を持ちたいのです。
「短期的に利益を出すことにより、現在開発中の高齢者向けサービスを一気に全国展開出来る。そのために今期と来期は何とかして経費を10%削減して欲しい!」や「長期的に高い利益率を出せるよう体質改善することで、社員のみんなが収入面も含めてより働きやすい環境を作れる。そのためにコスト削減は必要なのです!」というように、より良い未来に繋がる目的を全社で共有することがコスト削減活動の第一歩となります。