ノウハウ集

Topics

2018.3.19更新

第一章 医療業界のコスト削減事例

第7回:償還材料① ~循環器領域の削減~

今回は、償還材料のコスト削減のうち、循環器領域の進め方とポイントを「分析フェーズ」、「戦略策定フェーズ」、「実行フェーズ」に分けて紹介します。

今回は、償還材料のコスト削減のうち、循環器領域について紹介します。

 

償還材料とは

償還材料とは、国が決めた価格(償還価格)が付いており、保険請求することが可能な診療材料のことです。一般的にメーカーはこの償還価格を基準に、いくらか割り引いて病院に販売します。この償還価格と販売価格(病院側から見れば購入価格)の差は病院の利益になります。

例えば、ある種類のペースメーカーの償還価格は1個558,000円です。それを病院が500,000万円で購入した場合(割引率10.4%)、病院は58,000円の差益を得ることができます。さらに、償還材料は非償還材料よりも高額で専門性が高い傾向をもつため、より戦略的にコスト削減を進める必要があります。

 

分析フェーズ

循環器領域の償還材料を用途別にパレート分析し、同種同効品をまとめると、多くの病院ではペースメーカー、冠動脈ステント、血栓除去用カテーテルといった項目の優先順位が高くなるでしょう。心臓血管外科を標榜する病院では、人工弁や人工血管もコスト削減対象になります。

ところで、「うちは年間購入数が少ないから交渉が難しい、、、」と考えていませんか?

下図は循環器領域のある同種同効品群における、各病院の年間購入数と平均割引率をプロット示した図です。購入数と購入単価に明確な関係はありません。これは、実はあらゆる償還材料にあてはまります。もちろん購入数が多いことは価格交渉において有利になりますが、少ないからといって不利になることはないことを認識しましょう。年間数十個の購入でも、交渉次第で安価な購入単価を実現できるのです。

 

 

 

戦略策定フェーズ

分析結果をもとに、病院としてのコスト削減戦略を決めます。具体的には、「何を」「誰から」「どのように(いくらで)」購入するかについて、循環器内科や心臓血管外科の医師との調整を通して院内のベクトルを合わせるのがこのフェーズです。

 

①医師との調整前に整理しておくこと

  • 「何を」:コスト削減に取り組む領域、自院の製品数、コスト削減ポテンシャル
  • 「誰から」:代替品の有無、その代替品のマーケットシェアと市場価格
  • 「どのように」:目標購入価格

 

 

②医師の同意を得るために

コスト削減は医師と協力しながら進めていくものです。医師の同意を得るためにもいくつかポイントがあります。

 

  • ミーティングは関係者のみの少人数で行う
    相手方は対象診療科の診療部長のみ、こちら側もプロジェクトメンバー2~3人が良いでしょう。コスト削減の流れを理解した副院長クラスの医師に同席してもらうことがコツです。下の記事も参照ください。

第5回:コスト削減を成功させるコツ

 

  • こだわりの有無、こだわる理由を確認する
    コスト削減対象の製品について、医師のこだわりの有無を確認してください。こだわりのない製品については、製品の標準化あるいはメーカーの切り替えを前提にした戦略としましょう。こだわりのある製品については、その理由を明らかにしてください。アウトカムや操作性、代替品がないなど、医療の質に関する理由であれば医師の考えを尊重しましょう。その代わり、その製品自体の価格交渉に協力することを確約してもらいます。逆に、明確な理由がなかったり、長年の付き合いだから、といった理由であれば、考えを改めてもらうよう働きかける必要があります。

 

  • 目標価格を決める
    「市場の平均価格まで下げる」、「現在より10%削減」といった、具体的な目標価格を決めましょう。

 

 

実行フェーズ

A病院の冠動脈ステントのコスト削減事例を紹介します。

背景  

  • A病院の循環器内科は、メーカー3社(A社、B社、C社)の冠動脈ステントを使用していた
  • 院内の使用数量シェアはA社:B社:C社=40:40:20
  • 市場価格を調査したところ、3社とも平均価格から10~20%高く購入していた
  • 医師は特に製品にこだわりなく、なんとなく平等に使っていた

 

コスト削減の流れ

  1. ディーラーに事前に話を通したうえで、既存メーカー3社の担当者を順に病院に呼び出す
  2. 診療部長と各メーカー担当者の面談をセッティングし、診療部長から直接、契約見直しの件を伝える
  3. 2週間以内に見積書を提出してもらう
  4. 3社とも目標価格に達していなかったため、最も非協力的なC社を切り、A社・B社と、院長・事務長同席のもと再度交渉する。この時、院長・事務長はメーカーにプレッシャーをかける悪役を演じ、診療部長と購買担当者は「目標価格が実現できたら、購入量を増やすことができる」と助け船を出す。
  5. 結果的に院内の使用数量シェアはA社:B社=80:20となり、冠動脈ステントだけで10%(約1,000万円)のコスト削減に成功

 

循環器領域の償還材料はどの病院も比較的購入金額が大きく、成果が出る可能性の高い領域です。どこから手をつければよいか分からない場合は、まず循環器領域から取り組んでみてください。

コスト総研では、あなたの会社のコスト競争力を簡単に診断することができます。
診断をご希望の方はこちら

簡易診断を行う

関連記事

<戻る

ページトップへ