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2018.5.7更新

第一章 医療業界のコスト削減事例

第14回:クリニカルパスで医薬品費を削減しよう

クリニカルパスとは

 クリニカルパス(以下、パス)は、「患者状態と診療行為の目標、および評価・記録を含む標準診療計画であり、標準からの偏位を分析することで医療の質を改善する手法」と定義されます(※)。1950年代に米国工業界で導入された工程管理手法の医療版です。いわゆるマネジメント手法の一つですが、現場では主に「治療や検査のプロセスを標準化した入院計画書」という意味で使われます。

 

※日本クリニカルパス学会

 

パスで医薬品費が削減できる理由

 パスを作成し運用することによる病院経営上の大きなメリットの一つは、医薬品の過剰投与が減らせることです。医師は基本的にガイドラインに基づいて治療を決定しますが、実際に使用する医薬品の種類や処方日数などは医師の意向に左右されるため、大きなばらつきがあります。各医薬品の投与状況について医師と議論すると、「本当は不要だけど、念のため処方していた」、「昔からあるパスを使用していて、特に意識していなかった」という意見が多く聞かれます。パスが存在することで診療内容が可視化・標準化されるため、医療の質を落とさずに必要最小限のコストで治療を行うことができます

 

パスを活用するうえで重要な視点

パスがあり診療内容が標準化されていても、その内容が過剰であれば意味はありません。パスの効果を最大限に発揮させ、コスト削減に繋げるために重要な視点は3つあります。

採用銘柄

治療上必要なアウトカムを獲得できることを前提に、最も安価な銘柄を選択しましょう。新薬(先発品)を使用するか、ジェネリック(後発品)を使用するかで、コストは大きく異なります。また、抗生物質製剤はスペクトラムの広さ、輸液は補給する栄養素の種類によってもコストが変わります。

投与基準

パスに組み込むのは投与が必須である薬剤のみとし、患者の状態によって投与判断が可能な薬剤はパスから外しましょう。これにより、本来不要だった患者への過剰投与を防止することができます。

投与日数

パスに設定する各薬剤の投与日数が適正かどうかを検討しましょう。長期間投与することは、コスト上昇に繋がります。例えば、市中肺炎の治療では平均して1週間ほど抗生剤を投与しますが、入院初日からいきなり7日間処方していないでしょうか。まず3日間分を処方し、入院3日後に初期抗生剤の有効性を評価、回復状況によって継続・終了を判断することで、過剰投与を抑制することができます(日本呼吸器学会のガイドライン参照)。

 

A病院の事例

DPCを採用しているA病院(300床台)でのパス改善事例を紹介します。A病院消化器外科ではパスが既に使われていましたが、かなり昔に作成されたものであり、直近3~4年は見直しがされていませんでした。ガイドラインとベンチマーク分析から、結腸がん内視鏡手術パスの薬剤部分を下表のように見直した結果、一つのパスだけで年間約150万円の医薬品費削減に成功しています。

 

DPC病院以外でも適応できる

医薬品費の過剰投与抑制が医薬品削減に直結するのはDPC病院ですが、出来高払いの病院でも活用は可能です。なぜなら、出来高払いの病院であっても、薬剤コストが特定の医療行為に包括される場合がある為です。例えば、人工腎臓(透析)の診療報酬では透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤及びダルベポエチン製剤のコストが包括され、別で請求できません。出来高払いの病院においては、ターゲットを絞ったうえで医薬品費削減に取り組みましょう。

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