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2018.8.13更新

第一章 医療業界のコスト削減事例

第28回:看護部の業務改善③~病棟から外来へのタスクシフティング~

患者一人が入院してから退院するまでの、病棟看護師の一般的な業務負荷推移は下図のようになります。

  • 入院初期:急性期であれば入院から5日目前後の時期。薬剤投与や急性期処置、手術対応などの直接看護業務が集中的に発生。併せて、看護計画立案や患者情報の電子カルテ登録など間接看護業務も行う必要がある。
  • 入院中期:初期治療が落ち着く時期。直接看護業務は療養上の世話や薬剤の定期投与、間接看護業務は看護記録記入が中心。
  • 入院後期:退院が決まってから退院日まで。在宅復帰する患者であれば治療はほぼ終了しているため、直接看護業務は少ない。一方、退院手続きや退院時サマリ記入など間接看護業務がやや発生する。

 

 

看護師の業務負荷が最大になるのは、直接看護・間接看護ともに集中する入院初期です。救急患者が重なったりすると、業務負荷が倍増することになります。加えて、近年は在院日数短縮の影響で、業務負担が比較的少ない入院中期の期間が減っていることもあり、昔と比べると病棟はかなり忙しくなっています。

 

「病棟から外来へのタスクシフティング」とは、入院初期に実施している間接看護業務のうち、入院前から実施できる業務を外来に移行・集約することで、病棟業務の効率化を図る考え方です。例えば、下記のような業務はほとんどが外来移行可能なものであり、これらが全て入院前に済んでいれば、病棟看護師は直接看護業務に集中できるというわけです。

  • 入院生活の注意点、治療スケジュールなどの各種説明
  • 家族構成、生活スタイル、既往歴、介護保険の有無などの患者情報の収集
  • 現在服用している薬の鑑別と仕訳

 

病棟から外来へのタスクシフティングを進めるためには、大きく3つのポイントがあります。

 

予定入院患者を対象とすること

救急患者は時間的余裕がないため、まずは予定入院患者を対象に検討します。入院が決定してから入院日までには一定期間空くため、(病院や疾患によって異なりますが、多くは1週間~2ヵ月)その間に可能な業務は全て前倒しで実施してしまうのです。

 

現在の外来から入院に至るまでの業務フローを標準化すること

患者やスタッフによって業務がバラバラだと逆に非効率になるため、現在の外来から入院に至るまでの業務フローは出来る限り可視化・標準化することが必要です。ある疾患や診療科だけ実施する業務もあるためフローを一つに統一することは困難ですが、「診療科別」や「疾患別」といった単位で検討すると運用もしやすくなります。

 

移行した業務を集約して実施する部署を作る

移行する業務を一つの部署に集約させることで、マネジメントも効率的になります。多くの病院では既に「入院支援センター」や「入院手続きカウンター」といった関連業務を行う部門があるため、上手く活用すると良いでしょう。

 

実は、病棟から外来へのタスクシフティングを進めることで、「術前に中止しなければならない薬が早期に把握でき手術中止が減る」、「糖尿病を併存する患者に対し外来で栄養指導をすることで、栄養指導料が算定できる」といった、医療の質や収益の点でも高い効果が期待できます。「この業務は本当にこの場所で実施する必要があるのか?」という視点で、一度業務を見直してみましょう。

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