2019.04.15

医師一人あたり残業手当は年間290万円!

医師の働き方改革実現にむけて、厚生労働省で連日検討会が行われています。医師の長時間労働が問題となっているのは周知の事実ですが、病院経営には実際どの程度影響しているのでしょうか。残業手当(=人件費)の視点で分析を行いました。

目次

医師一人あたり残業手当は年間290万円

平成29年度公営企業年鑑に記載されている全国の公立病院において、医師一人あたり残業手当は病院間の差が大きいですが、平均値は年間約290万円となっています(下図)。仮に35人の医師が勤務する病院であれば、病院全体で年間1億円以上の残業手当が発生していることになります。但し、この金額はあくまで実際に手当として計上されたものであり、多くの病院で所謂サービス残業が当たり前になっていることを踏まえると、「本当の」残業手当ははるかに大きくなるでしょう。

 

時間外業務には救急患者対応などの必要な業務も含まれ、収益面で貢献している側面もあるため、残業が全て問題であると一概に言うことはできません。しかしながら、医師が単純な事務作業を行っている場合も多く(参考:医師の事務作業にかかるコストは、一人あたり年間270万円!)、そのような場合は早急に改善に取り組むことが重要です。

医師の事務作業にかかるコストは、一人あたり年間270万円!

医師の残業手当が多い病院に見られる3つの特徴と改善策

医師が少ない

患者数や医療機能に対して医師数が少ないと、当然ながら医師一人あたりの負担が大きくなるため、残業外勤務も多くなります。医療機関ごとの役割分担(例:急性期病院へのコンビニ受診を診療所が担う)によって患者数を減らすことが可能な場合もありますが、多くの場合は医師不足が背景にあります。

医師をサポートするスタッフが少ない

医師をサポートする看護師や事務スタッフが少なく、本来であれば医師がしなくてもよい業務を多く実施している場合です。必要職種の増員によるタスクシフティング(参考:病院におけるタスクシフティングの考え方病院でタスクシフティングを成功させるためのポイント)が改善策の一つになります。

病院におけるタスクシフティングの考え方

病院でタスクシフティングを成功させるためのポイント

業務が非効率

「医師をサポートするスタッフが少ない」にも関連しますが、電カルの操作性・業務フローの複雑化・書類の増加などによって業務が非効率になっている場合も残業手当が多くなります。業務の見える化を行い、非効率部分の抽出と対策を行うことが重要です。

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