人を動かすのは気持ち
コスト削減の目的 でもお伝えしましたが、売上を上げるのが“攻め”で、コストを下げるのは“守り”、と認識していないでしょうか。コスト削減活動に注力する機会が無ければ、そう感じるのも仕方ありません。
しかし、コストも自ら下げようとする、つまり“攻める”ことで合理的に削減することが可能なのです!まずは根拠が無くても良いので、“攻め”のコスト削減活動は結果を出せると自信を持ってください。
とはいえ、上司から“とにかくコスト削減を達成しろ!”と理由なきコスト削減を求められることもあるでしょう。特に、赤字であったり、業績が急激に悪化した会社にとっては、利益確保が焦眉の急であります。その時、理不尽なコスト削減を取引先や社内の関係者に要求すると、無理が通れば道理が引っ込むもので、いずれ見放されかねません。
そこで、合理的に説明するためにも共通言語となるコスト削減施策を立案し、どの施策を実行するか優先順位付けし、協力をお願いすることが必要となります。どの施策を実行するかという選定基準は「コスト削減額の期待値 x 実現可能性」つまり「コスト削減期待値」で行います。もっというと、同じコスト削減期待値であれば、「実現可能性」を優先して施策を立案すべきです。コスト削減案が絵に描いた餅になっては元も子もありません。実現されてこそ価値が出るので、実現に重きをおき、“攻め”ていってください。
【補足:コスト削減“学”を学ぶ場所はあるのか?】
コスト削減活動をするためのノウハウはどこで学べば良いのでしょうか。経営戦略、マーケティング、ファイナンス、人事戦略などといった、日本でも当たり前に通じるようになったMBA(経営学修士)コースという、いわば“ビジネスの強化合宿”で学ぶ科目の中に「コスト管理」や「コスト削減」という科目は日本の大学では特に見当たりません。一方、トップラインと呼ばれる「売上」を上げることに関しては「マーケティング」という人気の科目や学科があります(Google検索をしても「コスト 学科」では具体的な大学がhitしません)。企業価値を図るうえで最も重要な利益は、「売上 – コスト」で創出されるのにも関わらず、「コスト」削減を学ぶ機会は実践の場以外では非常に少ないのです。