2020.02.17

2020年度診療報酬改定を読み解く③~地域包括ケア病棟の梯子外し~

2014年度診療報酬改定で新設された地域包括ケア病棟は、①急性期後の患者の受け入れ(post-acute)、②在宅療養患者の受け入れ(sub-acute)、③在宅復帰支援、の3つの役割が求められています。

2020年度診療報酬改定では、地域包括ケア病棟に関して主に次の見直しが行われます。

このなかで、特に経営への影響が大きいのは「#1」「#6」「#7」の3つです。

#1 院内一般病棟からの転棟患者が6割以上の場合、入院料が90/100に減額

400床以上の大病院が対象で、地域包括ケア病棟の使い方がpost-acute機能に偏っている現状を是正する意図があります。仮に、地域包括ケア病棟入院料2(2,558点)を50床稼働100%で回している病院にこのルールが適応された場合、年間約4,670万円の減収になり、かなり大きい影響が出ます。院内転棟患者を6割未満にするには、在宅等からの直接入院患者(sub-acute機能)を増やす必要があります。基準をクリアするだけであれば、これまでも多くの病院で行われている、旧・短期滞在手術等基本料3(ポリペクや白内障など)患者の直接入院を増やすことで対応できますが、地域包括ケア病棟に本来求められている役割を考えると、在宅療養している患者や緊急患者の受け入れも可能な体制を整えていく必要があるでしょう。

#6 院内DPC病棟から転棟した患者は、期間Ⅱ終了日までDPC点数を算定

これは病床規模に関係なく、DPC病院で地域包括ケア病棟を保有する病院が対象になります。患者の状態ではなく病院の収益確保という経済的理由で、院内転棟が行われているのを是正する意図があります。このルールが適応されると、地域包括ケア病棟転棟による増収額が少なくなるため、地域包括ケア病棟を多く保有し、院内転棟中心の運用をしている病院ほど影響が大きくなります。

#7 地域包括ケア病棟の新規届出不可

このルールが出来たことにより、「400床以上の大病院は急性期医療に特化するべき」という国の意向が明確になりました。今後は病院単位で機能分化が進んでいくことが想定できます。

地域包括ケア病棟は、旧・亜急性期病棟を引き継ぐ形で新設された2014年度から経営的メリットが大きく、拡大が続いてきました。しかし、今回の改定で「梯子が外された」形になり、今後は厚生労働省が求める機能を追求していかないと、十分な診療報酬を得ることが難しくなります。特に#1と#6のルール変更により、集患力が弱い急性期病院は稼働率低下が加速すると思われます。改めて自病院の適正な病床数と病床機能、そのための適正人員数を考える必要があるでしょう。

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