コスト削減ノウハウ集では【戦略プロセス視点】と【コストドライバー視点】の2つの視点に着目しながら、コスト削減の実務について解説していきます。今回はこの2つの視点のうち、【戦略プロセス視点】について解説していきます。
戦略プロセス視点については、「戦略プロセス」の記事を参照ください。
戦略の考え方については理解していただけたと思います。ところで、コスト削減を実施する際はどのような視点で分析・戦略策定・戦略の実施をすれば良いのでしょうか?
目次
コストドライバーとは
コストドライバーとは“コストを最も大きく左右する要素”を指します。具体的には、素材やサイズ、サプライヤーの所在国、納期などが挙げられます。コスト削減を実施する際には、このコストドライバーに注目することが重要です。コストドライバーは「何を」「誰から」「どうやって」の3つに着目すると、抜け漏れなく分析しやすくなります。コストドライバーは具体的なコスト削減戦略の良し悪しを大きく左右するので、戦略を立案していくにあたって、抜け漏れなくコストドライバーを洗い出すことはとても重要です。
「何を」買っているのか
ここでいう「何を」とは、ただ単純に品目・サービス名のことを指すのではありません。仕様やコスト構造も踏まえた上での品目・サービスを指します。つまり「何を」買っているかとは、すなわち“どんな仕様でどんなコスト構造のモノ・サービスを”買っているかということを表します。「何を」買っているのかを分析することで仕様が明らかになり、どの要素がどれくらいコストに影響を与えているのかが見えてきます。この「何を」視点での分析は、原材料費や加工費の削減において特に重要になります。
「誰から」買っているのか
ここでいう「誰から」とは、商品・サービスを仕入れる際、“どんなサプライヤーから”買っているかを指します。この「誰から」視点での分析は、人件費や加工費の削減において特に重要になります。
「どうやって」買っているのか
ここでいう「どうやって」とは、商品・サービスをサプライヤーから仕入れる際、”どんな取引条件で”買っているかを指します。「どうやって」視点での分析は、一般管理費やマージンの削減において特に重要になります。
コスト削減効果の大きさは「何を」>「誰から」>「どうやって」の順になります。
「何を」「誰から」「どうやって」の視点でコストドライバーを特定することで、実現性が高く、効果の大きい具体的なコスト削減戦略の立案が可能となります。
実はコストドライバーさえ特定できれば、戦略立案は比較的容易にできます。詳しくは「コスト構造分析」や「VE策定方針」の記事で解説していきます。