全国の急性期病院薬剤師の配置人数を見てみましょう。病院によって差がありますが、100床あたり薬剤師数(常勤換算)の平均は7対1病院で5.2人、10対1病院で4.5人となっています。分布をみると、7対1病院では100床あたり3~6人、10対1病院では100床あたり2~5人の薬剤師がいる病院が多いようです。自病院の適正な薬剤師数を考える際に、押さえておくべき経営上のポイントをまとめました。
院内処方か院外処方か
院内処方か院外処方かで、必要薬剤師数が変わります。院内処方病院の場合、上記分析結果の100床あたり平均人数に+1した数(7対1病院:6.2人、10対1病院:5.5人)が薬剤師数の目安になります。逆に院外処方病院の場合は、-1した数(7対1病院:4.2人、10対1病院:3.5人)を目安にするとよいでしょう。
薬剤師の専任・専従要件がある加算の届出状況
薬剤師の専任・専従要件がある加算(下図)を届出るためには、その分薬剤師のマンパワーを確保する必要があります。現在の人数で届け出ることができればベストですが、足りない場合、増員による人件費増加と加算届出によって得られる収益を比較検討することが重要です。
薬剤師の業務範囲
薬剤部の人員増を検討する場合、上記の全国平均人数とともに、「薬剤師が専門業務に集中できているか」を調査してください。他職種でもできる一般業務(例えば、薬品の在庫管理や受発注業務など)の負担が大きくなっている場合、高給で採用コストもかかる薬剤師ではなく、事務職を増員する方が適切なことも多いのです。
薬剤管理指導料の算定件数
薬剤師を増やして、薬剤管理指導料の算定件数UPを図る場合も多いでしょう。薬剤管理指導料のみで人件費以上の収益を上げるためには、薬剤師一人が少なくとも月に150件以上の薬剤管理指導を実施する必要があります(人件費600万円/年、薬剤管理指導料の単価3,250円で計算)。上記①~③も考慮して、目標件数を達成できる仕組みを作ることが重要です。