コスト削減活動に取り組む上では、「何を」「誰から」「どうやって」の3つのコストドライバーに注目することが重要です。
コストドライバーについては下記の記事を参照ください。
3つのコストドライバーのうち最もコスト削減効果の高い「何を」とは、”仕様やコスト構造を踏まえた上でのモノ・サービス”のことでした。
ところで、コスト削減活動における”仕様”とはそもそも何でしょうか?
目次
仕様とは
”仕様”の定義は、広辞苑第六版によると
製作や注文にあたって、あらかじめ定める仕上がり品の構造やデザイン
とあります。
つまり、購買・調達において仕様とは、必要とする機能や役割を満たすための構造やデザインと定義できます。
機能仕様と技術仕様
実は仕様には2種類あります。機能仕様と技術仕様です。
機能仕様とは、ユーザの観点から当該製品が、何の働きを、どの程度するのかを定義するものです。この定義は主に技術開発部や生産部、品質保証部などが担当します。
一方、技術仕様は、機能仕様を満たすため、どの技術・材料を、どの程度用いるのかを定義するものです。この定義は主に技術開発部や購買部が担当します。
コスト削減業務では、定義された機能仕様を満たす技術仕様を最適化していくことになります。
包装資材の場合
実際に包装材料の例をみながら、技術仕様と機能仕様について理解を深めていきましょう。
機能仕様
まず、包装材料の機能仕様の項目を洗い出します。
包装材料の場合は、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐熱性、耐ピンホール性、すべり性などが挙げられます。
また、それぞれについて、評価基準を設けます。
今回の場合、耐熱性については、レトルト可能であれば”高”、ボイル可能であれば”中”、加熱殺菌不可であれば”底”と定義しています。
このように機能仕様を洗い出す際には、項目と基準を明らかにすることが重要です。
技術仕様
続いて、技術仕様を洗い出します。
一般的に、特定の機能仕様を満たす技術仕様は複数存在する場合が多いです。
今回あげた包装資材の機能仕様のうち、”耐ピンホール性:高”を満たす技術仕様には
ONY15/LDPE60
PET12/ONY15
PE15/AI箔15/CPP60
の3つが挙げられました。PET(=素材)12(=厚み)のように表されています。
洗い出された技術仕様はそれぞれリスクとコストが異なります。
ONY15/LDPE60は、現行品のため追加のリスクはなく、コストは8,600円です。
PET12/ONY15は他社にて同様品目で仕様されているため、リスクは小さく、コストは7,500円です。
PE15/AI箔15/CPP60は売値への転嫁可否とそれに伴う利益確保のリスクがあり、コストは11,000円です。
以上の分析より、PET12/ONY15が最適な機能仕様と言えるでしょう。