病院では毎日大量のシーツやタオルなどのリネンが消費されるため、そのクリーニングに大きなコストがかかります。日本の病院におけるリネンサプライの外部委託率は95%と言われており、ほぼ全ての病院では委託費として計上されます。今回は、リネン委託費のなかで特に大きな割合を占める「寝具」のコスト削減方法について紹介します。
目次
平均寝具委託費は100床あたり約300万円
一般的に、寝具委託費は病床数が大きいほど増えます。弊社調査によると、年間の寝具委託費は200床未満の中小病院で約400万円、200床~499床の病院で約1,000万円、500床以上の大病院で2,500万円です(下図)。100床あたりに換算すると平均約300万円となります。自病院の病床数に対して寝具委託費が適正かどうか、確認してみてください。
給食委託費の見直しと同様、「何を」「誰から」「どうやって」の視点でコストドライバーを発見することで、寝具委託の費用効率的な削減が可能になります。
「何を」:仕様を見直す
病院寝具は掛布団、敷布団、毛布、枕、シーツなどが一組となり、「一組あたりの単価」×「組数」で委託費が算出されます。そのため、まずは現状の仕様を分析し、「単価」と「組数」の視点で見直す余地がないか検討することが重要です。
一組あたりの単価を見直す
過剰な仕様となっている場合は、適正化によって単価を下げることができます。下記事例は、実際の病院での取り組み内容です。この改善により、約10%の寝具委託費削減に成功しました。
- 全てのシーツや布団に高級生地を使用していた。
→一般生地を基本スペックとし、個室のベッドのみ高級生地の寝具を採用。 - 高価な低反発マットレスが標準仕様になっていた。
→疾患によっては不要な患者もいるため、低反発マットレス有無で2つの仕様に分割し、それぞれ組数と単価を設定。 - 病衣が標準仕様になっていた。
→現在は患者がパジャマを持参して入院することが多いため、仕様から除外。
組数を見直す
緊急取り換えも発生する為、通常は病床数より多めの組数を委託しますが、多すぎると無駄が生じます。長らく稼働率が低迷している病院は、総病床数基準で組数を設定していると組数が過剰になる可能性があります。「稼働」病床数の1.05~1.1倍の組数を目安とし、定期的に組数を見直してください。
「誰から」:委託先を見直す
全国展開している大手業者と各地域でサービスを提供する業者に分かれます。必ず複数業者を比較し、自病院が必要とする仕様に合致するなかで価格面も含めてベストな業者を選択しましょう。
「どうやって」:取引条件を見直す
委託組数が契約で固定されているケースがあります。この場合、最も患者数が多い状況に合わせて組数が設定されるため、患者数の変動によっては無駄が生じます。その月の実績によって委託組数が変動できるような条件にすることも重要です。