2019.07.24

物流センターの改革が進まない!?

物流センターでは、日々業務改善に取り組み、生産性や作業品質の向上を目指しています。

お話を進めていく上で大前提を一つ共有しておきます。「Bestではなく、Betterを志す。
物流改善の活動において、「最適解」というキーワードが頻繁に出てきます。取り組んでいる時点での「最適解」いわゆるBestを目指しますが、これを実行すれば半永久的に取り組む必要がなくなるということでは残念ながらありません。この地球上のとある現場で取り組んでいたことが、もしかしたら「最適解」なのかもしれません。地球上のどこかで取り組んだことを全て網羅したデータベース(または頭脳)があれば全世界に共有でき、世界中全ての物流企業が最適解を実現できるかもしれません。ですが、そんなデータベースなど存在せず、テクノロジーは日進月歩で成長しています。どの時点を切り取っても「最適解」はないと理解して頂けますよね。今日の物流改善・改革のソリューションは、低コストで効果が高い、「お得」なものが増えてきています。中小企業でも導入し易く、導入のための提案やシミュレーションも丁寧にお手伝いしてくれます。しかし、なかなか中小企業では改革レベルの取組みが進みません。なぜでしょうか。。。理由は幾つもありそうですが、代表例を3つ挙げてみます。

現場に対する信頼が無い
マネジメント層のリテラシーが低い
中長期的な営業戦略が薄い

この3つを一つ一つ紐解いてみましょう。

 

現場に対する信頼が無い

こちらは本部目線での考えですが、本部が現場に対してこんな風に感じているかもしれません。
「新たなソリューションを入れてもウチの現場では使いこなせないよ。。。」「ルールを作って教育しても守れないから運用できない」「内容が複雑すぎてついていけない」本部は現場を信頼しておらず、最初から無理と決めつけてしまいます。そんな関係上で、例えば本部が現場に対して「来年から新しい機会を導入する!」と朝礼などで高らかに宣言しても、現場では「いやいや出来るわけがないじゃん!」「はいはい、いつものホラ吹きが始まったよ」と、陰口を叩かれていることもあるでしょう。本部が現場を信頼していないのと同じで、現場も本部を信じていません。つまり、現場と本部の間には「信頼関係」が全く築かれておらず、お互いのことをディスっている状態です。こういう関係は実際に多くの企業に存在します。しかし、このままではダメだという危機感も本部にはあるため、本部は新ソリューションの導入プロジェクトを決行します。本部が「ダメもと」で、新ソリューション導入の旨を現場に説明→現場から“出来ない前提の”意見を本部へ申し入れ→補足説明→出来ない→補足→出来ない・・・・・・断念。何度か本部と現場の間で同様のやりとりがされ、結果的に導入を断念する。あるいは、強制的に導入を実行し、いざ現場で運用を始めてみると、現場メンバーはモチベーションが低く、想定していた効果が出ない。本部はいつのまにか導入が目的となってしまっているため、PDCAが機能しません。これでは良き運用構築は出来ませんね。

 

マネジメント層のリテラシーが低い
「ウチの商品にはこのソリューションは勿体なすぎるなぁ」「よくわかんないけどなんとなくしっくりこない」「オレ達が現場にいた時に不眠不休で作り上げた仕組みだから今が完璧だ!」これまで培ってきた経験や知識等がバイアスとなり、そもそも新たなモノに取り組むという気が起こらないこともあります。私がお付き合いのある中小規模の服飾雑貨メーカーの方は「20年前に導入したシステムが問題なく稼働しているから新たな仕組みについては考えていない」との話を聴いたことがあります。稼働が始まった当初は、これまでの常識を覆す、先進的な取組みだったのでしょう。システムの導入には多くのリソースが割かれるため、手塩にかけて育ててきたシステムを自身の子供の様な感じで愛着を持つ。その気持ちは良く分かりますが、周りを一切見なくなって過去の栄光に寄り添い過ぎると、超絶スピードで変化を繰り返す世の中からは完全に取り残されてしまいますね。ショッピングでスマホ決済をする傍らで、お昼ご飯を黒電話で「ラーメン3つ」と出前注文をする。。。これはこれでいい気はしますが・・・若い従業員たちは、このギャップに大きなショックを受けることでしょう。

 

中長期的な営業戦略が薄
「〇〇社は30年続けた優良顧客だからこのままで問題ナシ!」「ウチの規模ではこれがベストだよ」「経費が高いから紙一枚の無駄にも気を配って節約を徹底するぞ!」全てが悪いことではありませんが、経営戦略として企業の成長を軽視しているかもしれません。今がベストというバイアスがかかり、思考や行動が停滞(あるいは停止)してしまい、企業も従業員も成長出来ない状態です。私が過去にご相談を受けた、とある小規模の3PL企業様で、「管理会計や作業上のKPIを分析しましょう」と、社長に活動の方向性を話したところ、「企業として活動しているんだから常に数値の分析はやっているから必要ない」と、機嫌を悪くさせてしまいました。しかし、その企業の現場や従業員さんの様子などを注意深く見ていると、マネジメントが全く機能しておらず、完全な放置プレイとなっていました。恐らく、収支としては黒字となっているものの、物流機能別の収支分析は出来ておらず、どこかの機能(恐らく輸配送)に、極端に依存した収支構造となっていたと予測しています。残念ながらその企業様とは、活動を共にするには至らず、以降は荷主離れが相次ぎ、規模をかなり縮小していると耳にしました。物流改革というと、大型投資のイメージがあると思います。間違いではありません。多くの物流企業がマテハンやロボット、AIを用いた革新的なソリューションを導入しています。

大型投資を行う原資があるから出来るということももちろんありますが、それ以上に投資を行った後のビジョンを明確にしていることが最も大きな要因になります。「今より良くなったらいいな」程度では投資など行いません。そこに、5年後、10年後、20年後の未来を描いているからこそ投資を行っています。


※出典:Lnews 岡村製作所/ニトリにロボット物流システム国内初納入、生産性3.75倍

中長期的な戦略について、コスト削減という活動の関わり方についても少し触れておきましょう。もちろん節約は企業経営の大きな活動の一つであることに疑いの余地はありません。しかし、全リソースを節約に集中させると、ステップアップを図るための活動が止まってしまいます。経費の節約、コスト削減の活動は、次のステップ、すなわち目標や目的を明確に掲げた上で取り組むものです。ただただコスト削減に取り組み、結果的に窮屈な環境になってしまい、従業員のパフォーマンスが低下してしまうという事態は避けなければなりません。コスト削減はあくまで「手段」であり、「目的」ではありませんコスト削減のその先の目的地を明確にしなければ、コスト削減も実りの無い活動になってしまいます。企業の経営理念、つまり「想い」がとても重要です。「人生における多くの時間を過ごす会社で、全従業員が仕事を通じて幸せを感じる様な会社にしたい。」「全従業員の最低年収を1千万円以上にしたい。」

人生100年時代。仕事を通じて豊かな人生を送りたいものですね。


※出典:FUTURE+DESIGN 人生100年時代

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