今回は実行フェーズの『仕様最適化』について見ていきます。
仕様最適化
仕様最適化は以下の7つのステップで行われます。
①現状仕様分析
現状の各品目の仕様を整理・可視化(バラツキ等の検証)
機能コスト×仕様コスト分析等により仮説立案(必要に応じ)
②制約条件・課題抽出
関連部署へのヒアリングより、現行の仕様決定プロセスを確認
仕様最適化に向けた制約条件・課題(=要件)を整理
③仕様変更案洗い出し
データ分析により仕様変更方針を策定
チーム内・取引先候補提案依頼より、変更案を洗い出し
④仕様変更施策選定
コスト削減効果・実現性分析より、実施する施策を選定
⑤取引先へ正式見積依頼
変更後の見積取得(RFQ/P)*1
サンプル提出依頼
⑥サンプル評価
必要に応じ、サンプル評価を実施
⑦取引先へ正式見積依頼
既存品の在庫状況に合わせた、仕様変更納期調整
単価の最終交渉と契約
この中でも
⑤取引先への正式見積依頼
⑥サンプル評価
⑦取引先との最終調整
の3つのプロセスが「実行」フェーズで行われることになります。各プロセスの詳細について説明していきます。
⑤取引先へ正式見積依頼
RFQ/P*1は、サプライヤー視点で記入しやすいフォーマットで作成します。
*1:Request For Quotation/Proposal(見積依頼書/提案依頼書)
サプライヤーへの提供情報としては、
- 技術仕様情報
- 年間想定発注数量
- 予定最低発注数量
- 希望リードタイム
- 現行の生産プロセス(必要に応じて)
- 配送先
- 支払条件
- 品質に関する要求事項
などが挙げられます。
⑥サンプル評価
必要に応じてサンプル評価を実施します。結果は全関係者で共有できるよう、可能な限りシンプルにするほうが良いです。
⑦取引先と最終調整
仕様最適化の取組みをとおして築かれた社内外の関係をベースにコスト競争力を担保し続けるためのコミュニケーションが重要となります。
最終調整には「最終交渉」、「契約締結」、「新規品目納入開始」の3つのステップが存在します。
ステップ1:最終交渉
- 単価交渉
理論上求められる最小単価を把握しつつ、自社内で妥結できる単価を設定し、単価交渉に臨みます。 - 納期交渉
現行品の切り替えが発生する場合は、既に発注分の入荷と消費時期を見越して、新規品目の発注、納入時期を設定します。
ステップ2:契約締結
- 納入検査項目の明文化
仕様変更により検査項目が変化する場合は、基準を明確化します。 - 契約期間の明文化
金型等の初期費用が掛かる場合、償却年数で縛られることがありますが、いつでも見直しできるよう可能な限り短い期間で締結させます。(戦略的に長期契約するのは、取引条件の最適化)
ステップ3:納入開始
- 初回納入時の立会
新規サプライヤーや新規品目納入時は、仕様最適化に携わった購買担当者が極力立会って、改善点が見つかった場合は速やかにサプライヤーと対策を協議します。 - サプライヤーとの継続的なコミュニケーション
永続的にコスト競争力を担保するために、関係を維持します。