DPC/PDPSにおいては、全体的に大きな変更はない改定となりました。但し、そのなかで注意した方良いのは、機能評価係数Ⅱの救急医療係数です。
救急医療指数の評価ロジック自体には変更がありませんが、救急医療管理加算の算定要件が厳しくなった(患者の状態や実施した医療行為を算定根拠としてレセプトに記載することが要件化&入院期間が通算される再入院時は算定不可であることが明確化された)ため、これまで救急医療管理加算を手あたり次第に算定していた病院は、救急医療管理加算の算定件数減少とそれによる救急医療係数低下のダブルパンチを受ける可能性があります。救急医療管理加算は院内で共通の算定基準を作り、それに則って確実に算定していくことが重要で、それが救急医療係数対策にもなります。
DPC/PDPSの対応で重要なことは、今も昔も変わらず、①正確なコーディングを行うこと、②点数設計に従って在院日数と医療資源のコントロールをしていくこと、の2点です。特に②については、今改定で点数設計が変わっているコードがいくつもあるため、この機会にパスや後方病棟への転棟基準を見直しましょう。全国的に症例数の多い上位30コードについて、期間ⅠとⅡの日数および日当点の変化をまとめました(下表)。
今回の改定で期間Ⅱの日数が短縮したコードは7つあります。期間Ⅱは全国の平均在院日数なので、今回短縮した疾患は全国的に在院日数短縮が進んでいることになります。頸部骨折(#4)やTKA(#28)の整形外科疾患は後方病棟への転棟が増え、鼠径ヘルニア(#12)、アブレーション(#13)、肺がん手術(#18)などはパスの整備が進んだことも背景にあると考えられます。
また、点数設計の変更により、1入院で得られる日当点も増減が生じています。例として期間Ⅱ終了日までの累積日当点を改定前後で比較すると、30疾患のうち14疾患で減少しています。金額にして1件あたり数千円~数万円の差ですが、症例数によっては影響が大きくなります。
全国的に在院日数の短縮・医療資源の適正化が進むなか、点数設計の変化に対応していかなければ、1日単価や医療看護必要度の低下に繋がります。しかし、在院日数を短縮するだけでは稼働率が下がってしまいますので、集患対策や適正病床数の検討も併せてしていかなければなりません。
今改定のDPC/PDPSでは大きな変更はないものの、①在院日数のコントロール、②集患、そして③適正病床数の検討、を同時対応していかなければならないことへのプレッシャーがより強くなったと言えるでしょう。