2020.04.13

コロナショックが変える病院の未来

国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、日本の人口10万あたり感染者数と死亡者数は、主要国と比較しても非常に低く抑えられています(2020年4月10日現在)。

生活習慣、公衆衛生のレベル、BCGワクチンの効果など、様々な要因が言われていますが、日本の医療環境や高い医療技術も大きく影響しているでしょう。一方で、医療崩壊の危険性が叫ばれているように、これまで国民皆保険と医療スタッフの献身で支えられてきた医療現場の「限界」も見えてきています。企業ではコロナショックを契機にリモートワークが一気に浸透したように、これまで保守的だった医療業界も大きく変わるはずです(むしろ、変わらないと生き残れません)。今回は、コロナショックを乗り越えたあと日本の医療業界に起こることを、マネジメント・働き方の視点で予想してみます。

医療資源の集約が加速する

日本は世界でもトップクラスに病床数が多い一方、医師は少なく医療資源が分散しているため、医療現場は常に人手不足で疲弊しています。新型コロナウイルスの感染拡大防止と感染患者対応で通常の外来診療や予定手術を制限した結果、経営が悪化する病院も増加しており、廃業する病院やM&A、統合案件が増えるでしょう。

患者のマインドセットが変わる

日本人(特に高齢の方)は病院好きです。朝から病院の玄関前に並んで外来オープンを待ち、入院すれば患者の希望で週末まで入院を伸ばすこともよくあります。全国各地の病院で院内クラスターが起こっているように、本来病院は感染リスクの高くお金もかかる場所であり、「できる限り病院にいかない」ように意識する人が若い人を中心に増えていくでしょう。

外来の遠隔診療が加速する

コロナショックによって、これまで認められていなかった初診のオンライン診療が可能になりました。現在は月1回しか算定できない・3か月に1回は対面診療を受けないといけないなど制約が多いオンライン診療料も、評価が充実していくでしょう。

外来患者で多いのが再診の定期処方と検査です。オンライン診療で処方された薬をamazonで受け取る、自宅で検査キットを使って採血し、施設に検体を郵送して検査結果をwebで受け取ることができるようになれば、再診患者はかなり減ります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが始まる

今でも、AIを活用した病理診断や記録の音声入力などが少しずつ始まっていますが、企業と比較すると病院のDX化はかなり遅れていると言えます。その大きな要因が、「電子カルテ」と「記録」ではないでしょうか。全ての情報がオンプレミスで電子カルテに集約されているため、どんなに小さいことでも病院のPCを開かないといけません。また、様々な場面で手作業の記録が行われ、そのチェック作業も同時に発生しています。クラウド型電子カルテが普及し、自動記録が可能になり、医療スタッフが電子カルテと記録の呪縛から解放される時、病院でDXが大きく進むと考えています。

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