2020.12.15

抗菌・抗ウィルス効果の長寿命化技術

2020年初頭より現在まで猛威をふるい続け、いまだ終息の見通しがつかない新型コロナウィルスですが、私たちの身の回りには、これ以外にも目に見えないウィルスや細菌が多数存在しています。くしゃみや咳で病原体が鼻や口から感染する飛沫感染や、汚染されたものに触って感染する接触感染等様々な感染経路があります。

今回は、抗菌・抗ウィルスの長寿命化技術について紹介します。

抗菌・抗ウィルスについて

①言葉の定義

昨今の情勢から改めて注目を浴びている抗菌・抗ウィルス技術ですが、「殺菌」や「除菌」等 の類似した言葉が複数存在するので各用語の定義を紹介します。

表1.用語の定義

SIAA(抗菌製品技術協議会)ホームページより作成

 

➁抗菌技術

細菌は細胞核をもたない原核生物で、ウィルスとは違い、栄養があれば自ら成長したり、増えたりすることができます。細菌表面の細胞膜は負に帯電していることが多く、そこにプラスの電荷をもった抗菌剤が吸着することで、細胞膜を破壊したり、細胞膜に存在する酵素を不活性化して、抗菌性能を発揮します。

前述の通り、製品の表面の菌を増殖させないような加工がされている製品を抗菌加工製品といいます。JISでは加工されていない製品の表面と比較して、菌の増殖割合が100分の1以下(抗菌活性値2以上)の場合、その製品に抗菌効果があると規定さてています。

図1.細菌の構造

サワイ健康推進課ホームページより引用

 

③抗ウィルス

ウィルスは細菌と異なり、人工的に増殖させることはできず、生体またはそれを構成する細胞内でしか増殖(複製)できません。構造から脂質の膜(エンベロープ)の有無で分類されます。

抗ウィルスは、ウィルス表面たんぱく、または場合により内部の拡散に変化を生じさせ、その結果としてそのウィルスが感染時に細胞表面にあるウィルスの受容体に付着する能力を失わせウィルス感染を起こしにくくします。

エンベロープのあるウィルスは、消毒剤として一般的なアルコールからダメージを受けやすいのに対し、エンベロープのないノンエンベロープタイプはアルコールが効きにくい傾向があります。

図2 ウィルスの構造

サラヤ株式会社ホームページより引用

表2.ウィルスの種類

  

 

抗菌・抗ウィルス消毒液の課題

消毒液として一般的なものはアルコールですが、数種類ある中で人体への影響が少ないエタノールが最も多く使用されています。

エタノール濃度ができる限り高い方がよいですが100%だとすぐに気化してしまうため、70~80%が最適とです。また、エタノールは50%以上の濃度があれば1分間程度で新型コロナウィルスを不活性化させることが可能との研究結果も発表されています。

しかし、上述の通り高濃度のために気化しやすく、効果が数分しか持たないことが課題であり、そのために何度も噴霧する必要があり、その分手間やコストがかかっています。

 

ナノカプセルを使った新技術

効果が持続しないという課題を解決するため、ナノカプセルの中に抗菌・抗ウィルス物質を内包させ、成分を徐放させて長持ちさせる技術が開発されています。

図3.ナノカプセルからの内包物徐放イメージ

このナノカプセルは、大量合成が可能で安価であり、生体適合性があって安全性が高いことも特徴の一つです。この新技術により、今まで数分しかもたなかった抗菌・抗ウィルス効果が、約半日まで伸びることが確認されました。

まだ量産、実用化までにはハードルがありますが、このような科学技術が新型コロナウィルス感染拡大に歯止めをかける一助となることが期待されてます。

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