物流費はコスト分解した時に上位に来る費目の一つで、物流費の削減は、売上の拡大、原価の削減につぐ、第3の利潤源とも言われています。日本ロジスティクスシステム協会の調査によると2017年度で全業種に置ける売上高物流コスト比率は4.66%となっています。この値より比率が高い場合は物流費のコスト削減余地があると言えるのではないでしょうか。
コスト削減と相性の良い業務
物流というとトラックなどによる輸送のイメージが強いかと思いますが、飛行機・船舶・鉄道・トラックと様々な媒体が存在し、配送方式もチャーター便・路線便・宅配便と様々です。
また、物流の業務は多岐に渡っていて、輸送・保管といった基本的なものから、流通加工、情報管理、受発注の代行、返品処理、在庫拠点の立地や物流ネットワークの設計、カスタマーサービスの窓口など、様々あります。物流費の機能別構成比は以下のようになっています。(日本ロジスティックシステム協会より引用)
このように物流の業務は様々ですが、このうちコスト削減においてまず注目すべき業務は、保管・流通加工・輸送の3つです。
保管
保管費用は倉庫の単価と使用する体積によって決まります。倉庫の単価は地域と倉庫の持つ付加価値(単なる平積み倉庫なのか流通倉庫なのかなど)に寄りますが、相場が存在するため容易に比較ができます。
流通加工
流通加工とは荷役(積み降ろし)や検品などの倉庫内での作業のことを指します。流通加工費用は作業にかかる人件費によって決まります。人件費は一般的に作業単価と必要人数によって決まります。そのためこの費用の削減はいわゆる業務改善にあたるもので、作業内容の見直して工数を削減することで行います。
輸送
輸送費用はタリフ(標準運賃表)によって決まります。例えばトラックの場合は重量と距離をかけたトンキロを基準にしています。
3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)
物流費の効率化のために1990年代にアメリカから流入してきた3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)というサービスがあります。サード・パーティーとは、荷主でも運送会社でもない第三番目の事業主体を指します。そして3PLとは、そのサード・パーティが包括的に物流サービスを受託する業務携帯のことです。物流費の削減にはこのような3PLも利用されます。
3PL事業者には、自社で倉庫や運送車輌などの物流資産を持つ「アセット型」事業者と、自社ではこれらの資産を持たず、外部の倉庫業者や輸送業者を利用してサービスを提供する「ノンアセット型」事業者の2種類が存在します。
3PL事業者は以下の図のような役割を担います。
3PLを用いて物流業務を外部に委託することで自社の経営資源を基盤事業に集中でき、企業全体のコストを低減することができます。また、通常の物流業者にと比較して、特にノンアセット型の3PL事業者の場合、客観性を持ってサービス水準を比較できます。
一方で外部の事業者が入ることになるため、細かい指示が伝わりにくかったり、緊急時に迅速に対応できないことがあります。これはノンアセット型事業者の場合に特に顕著です。そのため、確実に情報伝達する仕組みを構築し、また、あらかじめ緊急時の対応を検討しておくことが重要となります。