2019.07.16

物流センターの作業原価という考え方

物流センターでは、お客様の手元に商品をお届けするまでに様々な作業を行っています。
注文された商品をピッキングする。お店にディスプレイするための値札を付ける。商品A
と商品Bを一つの箱に入れてセット商品をつくる。ギフト用のラッピングを施す。商品の
品質を検査する。商品を業界誌に掲載するために撮影をする。ミシン針が入っていないか
の検針をする。会計用の棚卸資産を確定させるために商品を数える・・・

まだまだこのような作業は氷山の一角であり、中には定型化の出来ない作業もこなさなければな
らない、実に過酷な現場といってもよいのが物流センターです。
近年では荷主企業の理解も向上してきたおかげで、この多様な作業を進めることに協力的に
なってきてはいますが、まだまだ中にはこの多様な業務を「通常業務の範囲」として片手
間で指示をしてくることがあります。簡単に言ってしまえば、無料で作業を強いられる
いうことです。

例えば、荷主企業が一般ユーザーからのクレームで商品の成分表示を確認することになっ
たとします。すると荷主企業の担当者は物流センターに対し、「商品〇〇〇の成分表示ラ
ベルを撮影して画像でメールを送ってくれ」と指示します。荷主担当者は、「商品のラ
ベルを撮影するだけ」とほんの数分で画像が入手出来ると考えます。しかし、物流センタ
ーでは、指示のタイミングで行っている際中の作業を一時的に中断し、指示された商品の
保管場所をシステムで確認。保管場所へスマホやカメラを持っていき商品を取り出す。商
品を傷めないように慎重に扱いながら商品画像を複数枚撮影する。商品をもとの状態に直
して保管場所へ戻す。撮影した画像がキレイに見えるかを確認し、メールやチャットで画
像を添付し、「□□様 いつもお世話になっております・・」と常套句を添えたうえで送信
する。
スマホで送る場合や、デジカメからパソコンに移して送る場合など、端末によって所要時
間ももちろん変わりますが、この1つの作業だけでも5~10分程度かかってしまいます。更
に、この作業を行うまで別の作業をしていた場合は、その別の作業に復帰するのに少なか
らず時間がかかります。

 

 

※常に動いている現場で作業を中断させるのは、作業遅延やトラブルのリスクも発生する
※株式会社関通HP「物流代行改善事例集」より引用

 

ほんの一例として、「画像を撮影する」という作業にフォーカスしましたが、荷主企業や一般ユーザーから「片手間の作業」として、サクっとやって!と指示される場面が少なくありません。
物流センターでは、これら多様な作業を定型化し、課金化することに取り組んでいます。課金化のベースになるのがいわゆる「作業原価」となります。

 

課金化する上での考え方は、「作業原価+利益+α」になります。

「利益」は企業によって〇〇%と決めていることが多い様です(利益を計算せずに決めていることも多くありますが・・・)。「α」については、課金化する作業に用いる資材や備品などの使用料となります。

作業原価」については、簡単にいうと「当該作業の生産性を金額で表す」ということです。

例えば前述の商品撮影であれば、1件を完結させるのに5~10分となっていましたが、この所要時間を金額で表すのに下記を算出します。(ここでは10分で統一します。)

例)

給料月額30万円/月 ÷ 160時間(8時間×20日) = 1,875円/時

1,875円/時 ÷ 60分(分換算にする) × 10分 = 312.5円/件

この315.2円/件が所要時間を金額に置き換えた表現であり、「作業原価」となります。

この作業原価に前述の利益とαを載せたものが課金単価となります。

この例で課金単価を出すと312.5円+利益+α となりますので、おおむね400円前後の単価となるという計算です。

どうでしょうか。いつも何気なく取引先や仕事仲間に対して、画像撮影を依頼する場面は少なくないと思いますが、実際は1件の簡単な撮影でもこれだけのコストがかかっていることがご理解頂けると思います。1日1回は必ず起こるという場合は月20回で約8,000円かかっています。物流センターの目線から捉えると、1回の撮影で400円の潜在的な逸失利益が発生していると考えることが出来ます。

 

物流センターでの日々の活動には必ずこの「作業原価」が発生します。
本部や経営幹部から「もっと生産性を上げろ!」という命令は、言い方を変えると作業原価を下げるということです。

例えば、ピッキングの生産性が現状50件/時となっているのを60件/時を目指す。作業原価で考えると、1件あたり37.5円かかっている原価に対し、1件あたり31.2円を目指すということに置き換えられます。

既に課金化されているもので、作業原価を下げれば利益が上がります。更に、クライアントに少しだけ還元出来れば日々の努力がクライアントにも評価されて強固な信頼関係の構築につながります。

 

 

課金化されていないのに、ほぼ定例化されている作業を洗い出し、作業原価を計算してみると、驚くほど原価がかかっていることがわかります。現場が日常と思っている作業が、営業担当や本部、更にはクライアントも気づいていない作業であるということは多くあります。私も、クライアントと話すと、「え?そんなこともやってたの!?」と驚かれることが少なからずあります。

 

一度、自身のセンターで作業の棚卸を行い、社内で課金項目と擦り合わせて作業原価を算出してみてはいかがでしょうか。

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