1月29日に中医協総会から個別改定項目が公表されました。最重点課題ともいえる「Ⅰ:医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」の内容で目立ったのが、医療従事者の常勤・専従要件の緩和です。該当する主な項目をまとめました。
①「常勤」から「週3日以上かつ週22時間以上勤務する非常勤職員の組み合わせ」でOKに変更
②「常勤」から「非常勤」でOKに変更
③「専従」から「専任」でOKに変更
④「週3日以上かつ週24時間以上勤務する非常勤職員の組み合わせ」から「週3日以上かつ週22時間以上勤務する非常勤職員の組み合わせ」でOKに変更
⑤その他
■常勤と非常勤、専従と専任の違いは?
常勤と非常勤の大きな違いは、労働時間です。常勤は、当該医療機関が定める1週間の労働時間を通して勤務すること(フルタイム)。但し、当該医療機関が定める1週間の労働時間が32時間に満たない場合は常勤とはみなされません。一方、非常勤は、その一部を勤務すること(パートタイム)です。
専従と専任の違いは、当該業務に従事している割合です。専従は「8割以上」で、基本的にその業務以外をすることはできません。一方、専任は「5割以上」で、半分以上当該業務を実施していれば他の業務を兼務することができます。
■今回の改定による影響は限定的、しかし将来的に常勤・専従要件緩和の流れは加速
緩和ケア診療加算を例にすると、これまでは緩和ケアの経験を3年以上有する常勤医師が1名以上必要でしたが、改定後は「週3日、かつ週22時間以上勤務する医師が2名」いれば、他の施設基準を満たすことで届出が可能になります。常勤医師が不足している病院にはプラスですが、指定の経験を有する医師を「複数」確保することもまたハードルが高く、恩恵を受ける病院は限られると思われます。
また、上記④の、組み合わせが可能な非常勤職員の条件が「週3日以上かつ週24時間以上勤務」から「週3日以上かつ週22時間以上勤務」になった点についても、1日あたりにすると8時間から約7.5時間と30分の短縮にとどまっており、大きな変更とは言えません。
しかし、将来的には、働き方改革の一環として常勤・専従要件の緩和が加速していくことは確実でしょう。必要な人材を確保するために、多様な働き方を受け入れることができる体制作りが今から求められています。