目次
病院のDXとは?
病院におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、以下のように定義することができます。
病院が外部環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、患者や社会のニーズを基に、自院の医療サービスを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、組織文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 |
※参考:経済産業省 DX推進ガイドラインVer.1
ICT化とDXの違い
似た言葉で、「ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)があります。以前から、病院のICT化は進められてきました。しかしながら、ICT化とDXは全く違う概念になります。
ICT化とは、「業務プロセスの全てあるいは一部をICTで置き換えること」であり、その業務プロセスの効率化が目的になります。一方でDXは、そのICTを手段として活用し、医療サービスの提供方法や院内業務を根本から変革することが目的になります。
ICT化された業務は、以前より短時間あるいは低負荷で行うことができますが、パターン化できない作業や判断が必要な作業など、一部はこれまでと同じように人がやる必要があり、業務全体のプロセスは変わらないことがほとんどです。DXの目的は「対象の根本的な変革」であり、これまでの業務は無くなり、全く新しいプロセスが生み出されることになります。
転院調整業務を例に、ICT化とDXの違いを説明しましょう。対面で行っていた連携病院とのカンファを、Web会議ツールを活用してオンラインで行うようにするのはICT化です。参加者がカンファのために移動する時間と労力が削減されることで業務効率化に繋がりますが、その前後の作業や転院調整業務全体のプロセスは大きく変わりません。
一方でDXは、例えば患者情報や病床稼働状況を連携病院と統一ネットワークで共有し、日々の連絡もスマホを活用しチャット形式で行うことで、連携病院も同じ組織内にあるような環境を作り出すことです。これにより、リアルタイムでの情報共有が可能になり、以前の転院調整業務とは全く異なるプロセスが生まれます。
なぜ今病院にDXが必要か
いま、病院にDXが求められている理由は大きく4つあります。
- withコロナに対応する 新型コロナウイルスの拡大により、これまで当たり前であった対面でのコミュニケーションが大きく制限されることになりました。Withコロナ下で医療を継続して提供していくために、対面が本当に必要な業務以外はリモートでも対応できるように変革していくことが必要です。
- 医療ニーズの長期的な増大は見込めない 医療ニーズのピークは日本全体で2025年、都市部でも2040年と言われており、地方では既にピークを過ぎている医療圏も多くあります。医療ニーズが増えないということは、医療機関の増収余地も限られるということです。この厳しい外部環境下においては、病院経営の視点をこれまでの「収益最大化」から、「コストの最適化」に転換していく必要があります。DXの推進は、病院のコストを下げ職員の生産性向上に繋がります。
- 働き手が増えないなかで働き方改革を進める 現在、医師・看護師を中心とした病院職員の働き方改革が求められており、手段の一つとしてタスクシフトが推進されています。しかし、日本の人口は既に減少フェーズに入っており、今後は特に地方において、働き手の確保が難しくなっていくでしょう。更に、上述したように増収の余地が限られるなかで、人を増やし人件費を抱えるのは経営的なリスクも伴います。DXは、人からデジタル技術やシステムにタスクシフトさせることができます。働き手が増えないなかで働き方改革を進める非常に強力な武器になるでしょう。
============================================
本記事に関してご質問やご相談がある場合は、こちらからお気軽にお問い合わせ下さい。
初期診断は無料です。
https://costsouken.jp/magazine/contact/
コストサイエンス株式会社
https://costsouken.jp/healthcare/
============================================